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警察の実態を内部告発=犯罪組織と癒着も

2月26日(木)

 【エポカ誌】リオデジャネイロ州治安局の元女性聴聞官ジュリタ・レングルベル氏は、「生き埋めにされた人の墓」や「誰が見張りを見張るのか」などの著書を著した。その中で警官はどう猛な金銭の奴隷、報告の捏造などで警察の実態を内部告発した。次は同女史との一問一答だ。
 【警察暴力の被害者とは】警官の報告では、抵抗したための射殺が決まり文句。しかし、当局によって射殺された遺体を解剖すると三六%が頭部、五一%は背後に弾痕がある。これは銃撃戦による射殺ではなく、近距離で処刑したもの。中上流の住宅地域では、このような蛮行はしない。
 【正当防衛の妥当性は】リオで年間百七十人の警官が殉職したが、事故は勤務時間以外で起きたのが多い。警官は副業にセキュリティ・サービスへ勤務する。犯罪組織で、荒稼ぎをしている警官も少なくない。殉職した場所と警官が正当防衛を主張する理由がかみ合わないので納得ができない。
 【指摘する警察の欠点は】汚職と粗暴は、限界にある。リオ州で昨年、千百九十五人が殺害され、二〇%は警官による射殺。人口が同程度のポルトガルで、警官による射殺は二人だ。
 人命軽視は軍政時代の風習というが、さらに逆上って植民地時代の風習というべきだ。ブラジルの歴史で、警察は特権階級を守る政府機関の一部であった。だから市民を守るという概念は、伝統的に少ない。
 【聴聞局の役目は】警察に聴聞局が設けられたのは一九七〇年、米国で始まった。警察の違法行為に対する市民の訴えに応じるだけでなく、警察の信用回復が目的であった。
 【聴聞局の実態は】ブラジルでは、市民が警察を訴える雰囲気にない。警察は汚職の巣であり、へたに訴えるなら、自分の命を縮める。警察は犯罪組織の手先の目が、どこで光っているか知れない恐ろしい所。
 マスコミで話題を提供する犯罪組織は、末端組織で氷山の一角に過ぎない。犯罪組織の背後には国際マフィアも控えており、警察組織がどのレベルまで押さえているか不明。優秀な刑事は二重スパイといわれ、手ぶらでいって情報収集はできないのが問題だ。
【最も多い提訴は】多いのは三つ。汚職と暴力、警察の越権行為。リオ州の最高は、汚職で提訴件数の三〇%。警官を買収する市民も犯罪の一端を担っている。
 サンパウロ州の提訴は警察の暴力行為が最高で三四%。ミナス州は越権行為で五九%。ミナス州の警官は市民を殴ったり蹴ったりしないが、人間扱いをしない。
 【警察が信用されない理由は】自動車を盗まれても八〇%は、迷宮入りになる。当局は自動車窃盗グループや手口などのデータを持っている。保険会社を通じて追跡調査をすると結果が出るのに、警察では出ない。
 【なぜ警官は処罰されないか】警察機構の欠陥で、裁く権限はあるが罰する権限はない。聴聞局が設置されたのは、警官の行き過ぎを見張っていることを市民に見せるジェスチュアであって、当局が本気で問題に取り組む考えはないようだ。