2月21日(土)
援協傘下の保養施設、カンポス桜ホーム(カンポス・ド・ジョルドン市)が人事問題で揺れている。従業員の喧嘩に端を発し、最終的には岸眞司郎ホーム長の〃左遷〃に発展した。経営委員会(辻雄三委員長)とホーム長との確執が複雑に絡み、将来に禍根を残すことになりそうだ。背景には、入所者不足で経営不振が続いているという厳しい台所事情がある。
理事会での説明によると、女性の老人介護人が人望のある看護婦に対して嫉妬、施設内で誹謗中傷を始めた。そのため、解職処分にしたところ、この女性が辻経営委員長の元に駆け込んだ。
その結果、経営委員会が人事に介入。看護婦を辞職させるよう施設側に迫った。岸ホーム長が反発、両者の関係がこじれた。
経営委員の多数意見として、同ホーム長の解任が要求され、援協本部が異動に踏み切った。援協に残りたいという希望もあって、岸ホーム長は福祉部に配置換え。結果的には〃減俸〃になった。
実は前任者の加瀬昌文さんも、桜園の手入れをめぐって経営委員会と対立。同委員会から援協本部に不信任案が提出され、〇二年、辞職に追い込まれた。
人間関係がギクシャクした直後に、管理責任者とし赴任したのが岸ホーム長だった。赤字経営も続いており、経営手腕に大きな期待がかけられた。
カンポスはサンパウロから自動車で約三時間。標高千六百三十メートルの高原の町だ。冬期の平均気温が六~十二度に下がるため、入所希望者が少ない。
その代わりに、援協に救済を求めてきた困窮者がちょくちょく、入所を薦められる。つまり、本部への依存が強くなるということだ。
さらに、桜園やアジサイ畑の管理のため常時、四人ほどの従業員を雇用。一人当たりの月額経費を押し上げる形になっている。
今年の一月の事業実績をみると、本部からの扶助率は、ほかの五施設(老人ホーム、社会復帰センター)が四五%以下だったのに対して、桜ホームだけが七〇%を越えた。
岸ホーム長の就任後、施設は、アジサイ祭りや慈善カラオケ大会など新規事業を企画。収入源の確保に向けて取り組みをみせてきた。
さらに、市内にあるほかの老人ホームとの交流活動も開始。「岸ホーム長はよくやってくれていると評判は良かった」(関係者談)。だが、防犯対策など予想外の理由で出費がかさみ、当初の期待通りには結果を残せなかった。
岸ホーム長や経営委員会に責任はないと援協本部は認識している。当事者にとってはプレッシャーだったよう。経営がなかなか改善されないと、焦りがみえた。
そこに従業員の喧嘩が発生したのだった。人事問題は入所者にも伝わり、日常業務にも影響。対外的な交流は現在していないという。施設内も「静まりかえっている」。
援協本部は奄美事業所元職員の与座ヒロシさん(二世)を後任に据え、イメージアップを図る。経営委員会のあり方について、問題を残すことになりそうだ。