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ブラジル日本商工会議所=業種別報告と展望=上=企業、適正規模で進出を=コンサルタント=貿易、鳥インフルエンザ〝好〟影響

2月21日(土)

 ブラジル日本商工会議所(田中信会頭)の業種別部会長懇談会が、五日午後三時から安田保険社講堂で開催され、十一部会に分かれて昨年の回顧と本年の展望を発表した。主催は総務委員会(浅賀健一委員長)と企画戦略委員会(坂野正典委員長)。「どしゃ降り」という表現が各部会で多用され、不況にあえいだ前回の懇談会と異なり、一部に「薄日がさしはじめた」状況も見られるようになってきたようだ。
 【コンサルタント部会】企業は、「ブラキチ・アンチーゴ」(古いタイプのブラジル大好き人間)を駐在員として派遣するのでなく、古き良きブラジルにこだわらず、最近の激しく変動するブラジル経済に対応できて、バランス良く現実を見られる社員「ブラ好きノーボ」を派遣するべき。
 かつては「小さく生んで大きく育てる」ことが進出企業の方針だったが、現在は最初から適正規模、それなりの規模で始めないと競争に生き残れない。
 駐在員もコロニアも、現在のブラジルは技術の国であることなど、新しい側面を粘り強く日本へ伝えることが必要。
 【金融】昨年はレアル高で為替が安定し、高金利政策でインフレは抑制され、株価が上昇した。数字面からすれば改善のなされた年だった。特筆すべきは記録的な貿易黒字で、世界でも十位に入る黒字幅だった。
 銀行界は、外資系が苦戦しているのとは対照的に、地場銀行が業績をあげている。今年は対ドル相場が三・二レアルを見込むことも。金利は今後、一二、一三、一四%台という展開もありうるのでは。
 【貿易】昨年は旺盛な外需で輸出増、国内経済は停滞したため輸入が増えず、史上最高の黒字を記録。GDP三・五%成長目指し、景気刺激策をするとの予測も。鳥インフルエンザの影響も出てきた。昨年の対日鶏肉輸出は約千二百トンだったが、今年一月は一社だけで二千トンの成約(三カ月分)をしたところも。
 懸念材料は日墨FTA交渉が難航、交渉のスタンスがアジアにシフトしていること。船が足りなくて、運賃が上がっていることなど。
 【化学品】写真フィルムや家庭用接着剤など一般大衆向け製品は、昨年は厳しかった。昨年の家庭用接着剤は前年比の生産本数で二五%も落ちた。二レアルの接着剤も買えない人も多かった。化粧品、写真フィルムも前年比減益が多かった。
 工業材料製品業界、主に四輪や二輪向け材料を作っている会社で、日系自動車や二輪メーカーに供給しているところは安定して二〇%ほど伸びている。「今年もガンガン行きたい」との声もある。
 農薬業界では、大豆の作付面積が二千ヘクタールを突破。棉も二四%の面積増で、昨年は前年比五六%売上増と、同部会中一番の勝ち組であった。
 今年の展望では、大豆にさび病が広まっているのが不安要因。一六・五%に留まっている金利を、できれば一ケタ台にしてほしい。農薬業界では、環境に対する取り組みが大切と認識。特に環境ホルモン、環境負荷物質を排除する取り組みを各社ごとにまとめたい。
 【機械・金属】為替が安定していたこともあり、昨年は全体として「よかったかな」という年だった。汎用エンジン、ネジ業界がよかった。軸受や切削交換機もよかった。為替は三レアルを切ると厳しい。二割は輸出したい。
 ぜひ飢餓ゼロ政策を推進し、零細農家を政府で援助し、日本製の農業機械を買ってほしい。(つづく)