移民のカラオケ熱について次のように言った人があった。
無名の移民でも一躍脚光を浴びることのできる舞台こそがカラオケ大会である。歌唱後贈られる喝采と拍手。コロニアの場合、それは彼(彼女)が歩んできた人生に対する拍手でもあろう、と。
十五、十六日文協であったカラオケ大会で熱唱する一世歌手たちを前に、ふとそんなことを思い出し考えた。
移民の歌声からあわく滲み出る人生の綾。それは技巧を超え咲く「芸の花」でないか。
大会と平行して文協エスペランサ婦人会では短歌教室が開かれていたが、その創る短歌にしても、移民の精神史が反映されている点にまず心打たれる。
「歌」によってしかよみがえらない移民史もある、と改めて実感させられた。 (大)
04/02/18