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安立さんの叙勲申請却下=功労あった=事務局長ではだめ?

2月14日(土)

 功労者でも事務局長ではやっぱりだめ?―。今月十五日で没後半年になる前文協事務局長の安立仙一さん(享年七十二歳)の死亡叙勲申請が昨年、却下されていたことがこのたび明らかになった。「公職歴がない」「同じ団体の会長が叙勲している限り二重評価になる」の二点を日本の叙勲局は重視。安立さんを対象者として認めなかった。
 サンパウロ総領事館の中須洋治領事(日系社会班)は「太鼓判は押せなくともいけるんじゃないかと思って」と、安立さんが昨年六月に退職した際にも、声をかけていたという。しかし、安立さんは生前、叙勲への関心は薄く申請にも消極的であったため、文協が推薦人となって死亡叙勲を申請していた。
 安立さんは文協に四十六年間勤務、日系社会の趨勢を見つめつづけてきた数少ない戦後移民の一人。一九七〇年からは事務局長として会長の補佐役を担ってきた。文協の〝生き字引〟と目され、葬儀も異例の文協主催で行なわれていた。
 「叙勲局は文協の歴代会長がもらっていることを重視したようだ。過去に事務職者の叙勲は例にないと判断したのではないか」と中須領事。「ただ、健在であれば結果は違っていたかもしれない。死亡叙勲はそれほど審査が厳しい」
 というのも、死後わずか三十日以内に申請書を提出する義務があり、「時間があればゆとりをもって功績の上積みが可能だが、この場合は難しくなる」
 しかし、文協の中島エドワルド事務局長は安立さんの叙勲を最後まで信じていたという。「葬儀の席で領事館関係者から申請を勧められたこともあり、大丈夫だと思っていました」
 「どうして落選したのか、文書で書いたものが欲しかった。こちらも職員が徹夜して申請書を作り上げたのですから」
 推薦文にサインした前文協会長の岩崎秀雄さんは「だめだったの?知らなかった。有給者は審査の対象に入らないのかな」と話していた。