移民が〃成功〃するのに学歴が少しは影響していたか、と考えさせることがあった▼日本の政界のできごとだが、最近、民主党の古賀潤一郎衆議院議員が、米国カリフォルニア州の大学を卒業していないのに、卒業したと偽り公表し、昨年の選挙戦を戦った、というので、自民党などが、ここを先途と攻め立て(責め立て)、民主党は苦り切って除籍処分にした▼さて、移民社会だが、少なくとも、一九七〇年代に入り、日系人の農業離れが顕著になるまで、つまり、農業が主体だったそれ以前は、学歴など重要視されず、むしろ「邪魔だ。学校出はへりくつばかりこねて」とされた時代もあった▼少なくとも、戦前に関しては、移民は腕専一(もちろんアタマを使った腕だが)だった。金儲けする上で、あるいはまた、日本人会などのリーダーになる上で、学歴は関係なかったといえよう。本当の意味で実力社会だった▼例えば、移民のなかの旧制中等学校出は、インテリということで、日本語学校の教師などに迎えられはしたものの、雑用係も兼務させられ(この「させられ」が重要である)指導者になる例は少なかった▼日本のほうに話をもどすと、古賀氏の場合は、同じ選挙区で対抗した山崎拓・元自民党幹事長が女性問題で失点していたこともあって、学歴を詐称しなくても、若さと勢いとで勝利したのではないかと想像したりした▼時はうつり、いまや日系社会はブラジル社会に組み入れられ、重度の学歴社会になっている。(神)
04/02/06