2月5日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙四日、時事三日】過去数日間の経済指標の悪化をみかねたパロッシ財務相は三日、記者会見で、経済政策をめぐり閣内で不和が生じているとの憶測を否定し、基本金利(SELIC=市場の参考金利)もまた下がると表明した。中銀は一月、基本金利を年一六・五%に維持しており、FED(米国中銀)も米の金利引き上げを声明書で発表したため、先週からブラジル金融市場は大きく動揺していた。パロッシ財務相は、「〃緑黄(ブラジル)〃だけが悪化したのではない。すべての発展途上国で通貨価値が低下し、カントリーリスクも上がったのだ」と言明している。会見内容を箇条書きで紹介する。
[インフレ]
「一月のインフレは、この時期毎年値上がりする学費や交通費、野菜、フルーツなどによって引き上げられた。だが、別の問題がないというわけではない」
[基本金利]
「政府が保守的な政策をとる理由がどこにある? 今年のブラジルの成長は期待できるものであり、今から経済政策を変更するのは意味がないことだ。通貨政策審議会(COPOM)も一時的に基本金利を据え置きにすると声明しており、金利引き下げの可能性を取り去ったわけではない」
[ブラジルの成長]
「今年はブラジルの成長の年であると確信している。だが、ブラジルは現在抱えている問題を長期にわたって解決する必要がある。通貨政策だけに頼るのではなく、ミクロ経済(各企業の経済)などの問題から手をつけなければならない。これまでブラジル政府はマクロ経済(国民経済全体)のバランスを優先してきたが、その代償は高くついた。ルーラ大統領が言う『長期の課題』というのはそのことである」
[米国の金利問題]
「まず始めに、(経済指標の悪化は米金利上昇のせいであり)〃緑黄〃が悪化したわけではない。すべての発展途上国で通貨の価値低下やカントリーリスクの上昇などの影響があった。FEDがこのようなサインを出すと、途上国に悪影響を及ぼすことは周知のことである」
[苦境の対策]
「我々は常に対策を実施してきた。対外債務の状況や外貨準備を改善し、国際通貨基金(IMF)とも予防対策的な交渉をした。どんな困難も乗り越えられるよう、ブラジルは〃筋トレ〃をしているのだ」
[閣内での不和]
「政府内では、経済政策の方向をめぐる不一致は存在しない。それどころか、ブラジルが良い方向へ向かえば、投資の増加や新社会政策の施行など、今以上のことをできるだろうと思っている。これは非常に良いことだ。だが、限界を超えてやりたいことをやれば債務を増やしてしまう。今現在、経済政策を変更することは意味がない。国庫の連中はもともと政府からいい目で見られる存在ではない。昨年実施した緊縮財政で、自分の右腕であるジョアキン・レヴィ国庫管理局長官は当然皆から嫌われただろう。だが、自分はジョアキンとマルコス(リスボーア、経済政策局長官)の手腕を信頼している。政府の限界を定める苦い役割が我々の仕事である」
◎
ブラジル金融市場やメディアの間では、ルーラ大統領が昨年初頭の就任以来、厳しい緊縮財政を実施しているにもかかわらず、目立った成果が表れていないことに苛立ちを募らせているとの憶測が流れていた。これに対しパロッシ財務相は、「昨一年厳しい財政調整をしただけで、すべての問題が解決したと考えるのは間違いだ」と返答している。ルーラ政権によるインフレと公共支出の抑制は評価されているものの、昨年の経済成長率は、ここ十年間で最悪の〇・五%以下と見込まれている。