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金融市場、大きく動揺=株価急落リスク上昇=インフレ再燃に警戒感=米の金利上昇予測も影響

1月31日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙三十日、時事二十九日】絶好調のように見えたブラジルの金融市場は二十九日、大きく動揺した。サンパウロ証券取引所(BOVESPA)の主要株価数であるBOVESPA指数は、前日終値比六・一四%の大幅安で取引を終えた。これは、大統領選挙を控え経済の先行き不安が高まっていた二〇〇二年七月以来の下げ幅。カントリーリスクは同日、一時五〇〇ポイントを超えたが、最終的には九%高の四八三ポイントになった。これも、ドル高などが激しかった〇二年七月二十七日以来の高値である。

 投資家の楽観的な気分が急変し、株式市場の急落を引き起こした理由は二つある。一つは、中央銀行(中銀)が同日公表した通貨政策委員会(COPOM)の議事録に対する市場の反応である。市場は、COPOMが「インフレ再燃に対する警戒感を示している」と解釈し、「金融緩和に歯止めが掛かる」との見方が広がったのだ。
 中銀は二十一日のCOPOMで、主要政策金利のSELIC(基本金利)を年一六・五%に据え置き、連続利下げは七カ月で休止した。産業界には景気回復を確実なものにするため、引き続き金融緩和に取り組むべきだとし、据え置きに批判的な意見が強い。
 もう一つの原因は、米国で中銀の役割を果たす連邦準備制度(the Federal Reserve System=通称Fed)が二十八日、「(米の)金利が再度上昇するのは時間の問題だ」との見解を発表したからだ。現在の金利は年一%。Fedの発表によって、今月八日に額面価格の一〇〇%まで回復し、注目を浴びていたCボンド(ブラジル外債の一つ)は、三週間ぶりに、再び一〇〇%以下の額面価格で取引されるようになった。
 米国の金利が上がった場合、投資家たちはブラジル外債からリスクゼロの米国国債に乗り換える恐れがあるので、Cボンドにも影響が出たのだ。
 株価急落とカントリーリスク上昇はドル相場にも影響を与え、同日には今月最大値の二・九三一レアル(一・二%高)を記録した。
 この日公表した議事録で、中銀は「最近二カ月間の物価上昇は、(クリスマスなどの)季節的要因だけによるものではない」とし、インフレ再燃への懸念を表明。インフレが目標を大きく上回るようなら、中期的には緩和政策の変更もあり得るとの立場を示した。
 ブラジルのインフレは、中銀の金融引き締めで〇三年第二・四半期(四~六月)までに沈静化したが、同年全体のインフレ率は目標上限の八・五%を上回る九・三%だった。また、同年十二月のインフレ率は前月の〇・三四%から〇・五二%にやや悪化した。