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デカセギ犯罪が凶悪化=殺人、強姦ほぼ倍増=外国人中2位の検挙件数=合法滞在なのになぜ?

1月28日(水)

 昨年、日本で犯した殺人事件によって逮捕されたブラジル人は一六人、強盗事件では八四人、強姦事件では七人で、いずれも一昨年に比べ増加傾向にあることが、警察庁刑事局刑事企画課が発表した「犯罪統計資料(平成十五年=二〇〇三年=一~十二月)」などによって分った。〇二年の重要犯罪・重要窃盗犯の国籍別検挙人員におけるブラジル人の総数は二五一人、〇三年は二五四人とほぼ横ばいだったが、殺人事件で検挙された人員は二倍になるなど、悪質化したともいえそうな内容となったようだ。

 来日外国人全体の検挙件数の推移は、二〇〇〇年、二〇〇一年に大きく減少したほかは、ほぼ増加傾向にあり、〇三年(一月~十一月)は三万七〇一六件と、前年同期比で四三三八件増加(一三・三%)している。総検挙人員は一万八四四四人で、前年同期比で三三五五人(二二・二%)増加した。
 中でも、「平成十五年(一~十一月)の犯罪情勢」(警察庁刑事局刑事企画課)によれば、〇三年(一月~十一月)統計を国籍別にみると、検挙件数、検挙人員ともに中国人が最も多く、検挙件数の四三・六%(前年より一七・九%増)、検挙人員の五二・三%(二四・三%増)を占めている。
 検挙件数、検挙人員ともに不名誉な二位になったのがブラジル人で、検挙件数の一七・七%(四三八二件)、検挙人員の一一・六%(九二六人)を占める。〇二年の同期比でみると、検挙件数では九%減(四三一件)だが、検挙人員では三%増(二七人)となっている。
 凶悪な犯罪だけを扱った統計「犯罪統計資料(平成十五年一~十二月)」によれば、〇三年の国籍別検挙人員総数一五一八人のうち、ブラジル人は二五四人(一六・七%)を占め、中国人の八五一人(五六%)に次ぐ二位となっている。中国人は〇二年に比べ一二六%も増加したが、ブラジル人は三人増えたのみだった。
 ただし、犯罪の質に変化が現れている。ブラジル人による重要犯罪(殺人、強盗、放火、強姦、略取誘拐、強制わいせつ)が増加した。〇二年の九二人から、〇三年は一一〇人と約二割も増えた。詳細をみると、殺人は八人から十六人へと倍増、強盗は七四人から八四人へ、強姦は四人から七人になった。
 デカセギ犯罪の凶悪化は、ブラジルのイメージを悪くするだけでなく、日系人のそれにも暗い影を落とす。日本の司法当局は現在、不法滞在外国人取り締まりを厳しくしている。中国人は不法滞在者が犯罪に関係する場合が多いと推測されているが、合法滞在外国人ではブラジル人が犯罪率のトップ。いずれブラジル人にも、風当たりが強くなることが予想されよう。