日本共産党が柔軟綱領を採択したというので話題になっている。なにしろ天皇制も自衛隊も「事実上容認」する方向を打ち出したのだから驚く。大好きな「前衛党」などの革命色の強い語彙も新しい綱領から削除したし文字通り「柔らな政党」になったの印象を与えがちだが、さて本音は如何なものか▼自衛隊にしても「憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かって前進する」と明記しており、当面は容認するけれども、時が至れば解散の姿勢は何ら変わっていない。尤も、社会主義革命ではなく、資本主義の枠内で可能な民主的改革としたのは評価していい。それにしても共産党も変わった。一九五〇年代に繰り広げた武装路線は「いつ革命が起きるのか」の不安を列島中に撒き散らしたものだが、こんな事実も今や忘れられようとしている▼ソ連や東独と周辺の共産国家が次々と崩壊すると世界のマルキシズムは泡のように消えていく。そんな中で日本共産党は頑張ってきのだが、世の評判は徐々に悪くなり離党者も出るようになる。この典型は機関紙「赤旗」の読者離れに見ることができる。最大で三百万部を突破する新聞であったのに現在は百七十万部にまで激減している▼代々木の本部に座る議長・不破哲三氏も、こんな世の動きを知り「新綱領」を思い立ったのに違いない。五〇万人の党員達成をも大会決議にしている。そのためには新綱領に「事実上」の「天皇制容認」を盛り込まざるをえなかったのが実情と見ていいのではないか。 (遯)
04/01/22