ブラジル日系社会の学術機関、サンパウロ人文科学研究所で所長および専属研究員の不在が続いている。宮尾進前所長と脇坂勝則相談役、鈴木正威理事が交代で〝参勤〟しているのが現状だ。
宮尾前所長は「遅ればせながら、うちもペレストロイカ(再構築)の必要に迫られている」と、二十年ほど前に流行した言葉を用いて自嘲する。
空白のままの人事とは対照的に、移民百周年事業として昨年より始まった人文研叢書の出版スケジュールの方は詰まっている。
既刊の「ボーダレスになる日系人」「臣道聯盟」に続き、「消えた移住地」「移民と健康・医療・衛生」を今年上半期中に刊行。予算がつけば下半期にさらに四冊を予定する。
急務は何を置いても、研究員の発掘。だが、台所事情は苦しい。旧ソ連の改革に習うなら、資金作りの一環として市民講座の開催などグラスノスチ(情報公開)はどうか。 (大)
04/01/13