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健やか長寿謳歌しよう=森口医博が健康指南/日系人の健康守る=巡回診療は岳父の遺言

2003年1月1日(水)

 森口教授は巡回診療に携わって三十二年。サンタカタリーナ、リオ・グランデ・ド・スル州に在住の日系人の健康状態をくまなく、観察してきた。『すこやか長寿の秘訣』はそのデータに基づいて書かれたものだけに説得力を持つ。
 巡回診療は国際協力事業団から委託を受け、南日伯援護協会(ポルトアレグレ市、利祢康弘会長)が実施している事業。一年間にカシアス・ド・スル市、サンレオポルド市など日系人の居住地三十カ所ほどを回る。五百人前後が毎年、来診する。
 巡回診療に関わるきっかけは、岳父・細江静男医師の遺言だった。「日系人の健康を守るために尽くしてほしい」。そう言い残した。
 当時、ブラジル移住者の平均寿命は日本に比べて十七歳も少なかった。理由を解明しなければならないという、学者としての使命感に燃えた。 
 沖縄県出身者を例にとると、大豆を食べない▽魚介類を摂取しない▽塩分を三─四倍とるなどの原因が分かった。
 成人病は生活習慣からくる。治療で、投薬は最終手段。食事の改善を徹底させた。
 「これじゃあ、三カ月、持ちませんよ」。生活習慣の悪い来診者には、容赦なかった。あまりの厳しさに、翌年から受診を取りやめる患者も出たという。
 しかし、生活習慣の改善に向けた徹底した指導で、健康を取り戻した患者も少なくない。高血圧の患者は十分の一まで減った。
 栗林隆之・援協事務局長は、「ブラジル人と日本人の体質は異なる。同じように服用をしたら逆効果になることもある。巡回診療に処方箋や医薬品を持参、健康相談を持ちかける人も多い。みんな感謝している」と、森口教授の熱意を高く評価している。


◇二十歳若くなる健康法

一、毎日朝食をきちんと食べる
二、一日平均八時間は横になって休む
三、栄養はバランスを考え、一日二十種類は食べる
四、毎日歩く
五、深酒にならないように気をつける。酒なら一日一合、ビールは大瓶一本、ワインはコップ一杯程度
六、労働時間は一日九時間以内
七、ストレスをとる
八、タバコは吸わない

◇健やか長寿謳歌しよう=森口医博が健康指南=サンパウロ市講演会の要旨紹介=

◇日系人の健康守る=巡回診療は岳父の遺言

◇二十歳若くなる健康法