12月11日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】セウソ・ラッフェル前外相は九日、ルーラ大統領が外交政策と労組活動を混同するなら、国家にとって自殺行為となる危険性があると警告した。国際政治の舞台は労働運動より複雑であると、前外相は述べた。またリビアとシリアは、独特の政治形態を持つ国家であることを認識するよう忠告した。両国訪問は、先進国の不信を招きかねないと案じた。
前政権閣僚の政策批判としては、最も辛らつなもの。リビアやシリア訪問で、大統領を「お調子もの」と批判した。特に両国は国際協調政策を採る国々と一線を隔している国家で、得るよりも失うものが多いと前外相は厳しく警告した。
通商目的の歴訪にリビアやシリアへの表敬訪問は無用であり、大統領の訪問理由が理解できないとした。そんな無駄な時間があるなら、中国やインドへ足繁く通うべきだと述べた。
今回の大統領の中東訪問で、各国から受けるブラジルは国連安保理、非常任理事国入りの支持票をアラブ諸国から集めている。これは米政府の不信を招くことになる。逆効果であると、前外相は忠告した。リビア訪問は、常任理事国の英国とフランスの不信にもつながる。
中東紛争は地域紛争ではないことを、PT政権は見落としているという。ブラジルにはなく未経験な覇権問題が、中東に横たわっている。中東和平はブラジルが外交交渉で解決できる問題ではないと、前外相は語った。前政権は、国際覇権の存在を認識していた。大統領は中東問題を労働争議と同じくらいに思っていると、前外相はやゆした。
軽率な国際外交を展開するなら、足元に火がつくことになる。ブラジルが、窮地に陥りかねない。よい選手とよい監督がいなければ、応援団がしっかりしていても試合には勝てない。試合ごとに相手チームの戦略に応じて、戦法を考案しなければならない。国際外交もサッカーのように手法は千変万化だと、前外相は警告した。