12月11日(木)
石田仁宏サンパウロ総領事は十日、同総領事館で記者会見し、来年十月、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会談が開催されるチリへの首相訪問が実現する可能性を示唆、「その場合は南米を回る。ブラジルは一番の候補地」とし、ルーラ大統領との会談を視野に外交調整を進めていく意向を示した。首相のブラジル訪問が決まれば、一九九六年の橋本龍太郎首相以来となる。一方、その前の同六月にサンパウロ市で開かれる国連貿易開発会議(UNCTAD)総会にも閣僚レベルの政府要人が出席する見込みで、「外務省は来年は日伯交流のひとつの契機になるとみている」と明かした。
総領事はさきにブラジリアで開かれた官民合同会議(一日)、在伯公館長会議(二日)に出席。そのなかで、「ブラジルの対日関心は、こちらからアイテムを考えて仕掛けていかないと低くなるなどと発言した」とあわせて報告。
その「アイテム」として、日本人移住百周年記念事業、エタノール貿易、日伯間の自由貿易協定(FTA)交渉の三つを挙げ、百周年について「外務省は二〇〇八年を日伯交流年として考えている」と言及。
エタノール貿易については、「ブラジルは日本にとって有力な輸入国」との認識が改めてブラジリアの会議でも確認されたと明かした。
FTAは、ブラジル日本商工会議所のメンバーらが出席した官民合同会議で、「民間からの要望があった。政府も大いに参考にする用意がある」と語った。
また、同商工会議所が加盟百四十一社中五十社から回答を得た同協定に関するアンケートで、三分の二が実現を肯定的に考えているデータを挙げ、「日墨のように民間からの強い意見が後押しになる」との見方を示した。