12月10日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】エジプトのカイロに滞在中のルーラ大統領は八日、パレスチナ解放機構(PLO)のアラファト議長から、ブラジルが中東和平に向けた治安維持部隊に参加するよう要請する文書を受け取った。ムバラク大統領の会談とピラミッド見物が予定されているエジプト滞在中に、PLOのひっ迫した文書は手渡された。政府はパレスチナのラマラに、ブラジルの外交事務所開設を検討している。
PLOはイスラエルとパレスチナの中東和平交渉団をサポートする治安部隊への、ブラジルの参加を呼びかけた。現在は、米国やEU、ロシア、国連の四カ国混成部隊で形成されている。アラファト議長が軟禁状態にあるラマラに、ブラジル外交事務所の設置を政府は検討している。
大統領に文書を手渡すためシャアス外交代表は、カイロまで十時間、陸路を必死で走ってきた。文書と議長やアハメド・クレイ首相の伝言を、直接伝えるためとされる。外交代表を特使として派遣したのは、和平交渉が暗礁に乗り上げているためと考えられる。
文書では、ブラジルが国連安保理事会の非常任理事国となった場合、中東和平交渉でパレスチナを支援して欲しいと懇請している。要請は、インドや南アフリカ共和国にも行ったようだ。現在の四カ国混成部隊に、PLOが不満を抱いていると政府はみている。
米軍は、単なる参加だ。ブラジルをはじめとするインドや南アフリカ共和国を加えた補強部隊に、PLOが期待するのがうかがえると、ルーラ大統領は述べた。大統領は力関係で成り立っている国際政治を批判し、率先と勇気、ヴィジョンも必要だと訴えた。
ルーラ大統領はエジプトのムバラク大統領と会談を行った。同席したアモリン外相は、治安維持部隊へのブラジルの参加は即答できないとした。二〇〇四年にはパウエル米国務長官やイスラエルのシャロン首相が来伯する。そのとき、ブラジルが参加することについて打診する。ほかに国連のアナン事務総長やフランスのヴィレパン外相にも相談するという。
アラファト議長はルーラ大統領に、大統領と直接会談をしたいが外出したら殺害される、またイスラエルとパレスチナの同時訪問は不可能だと伝言した。