12月10日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】連邦政府は七日、ブラジル国内における資金洗浄犯罪の対策として十三の法案を発表した。そのうちの一つは、容疑者の銀行口座および所得税申告などの税務情報へのアクセスを、どの捜査機関でもできるようにするもの。現在、銀行口座および税務の秘密情報を裁判所の許可なしに見ることができるのは国税庁だけ。これは、警察などの捜査機関が強く支持している案である。
先週末に、行政、司法、検察庁の代表者ら六十人が会議を開き、ブラジルの資金洗浄問題について論議した。その場で、法務省金融資産回復部に属する資金洗浄防止・対策総合管理室(GGI)が設置された。
GGI以外に十二の対策案が出された。二〇〇四年上半期までに、すべての対策案を実施できるようにすることが目標。この包括犯罪対策法案の主要案が、銀行口座および税務情報の開示である。
当初、秘密情報の開示案は、銀行などの秘密保持制度を無視し、個人情報の守秘性を脅かすものとして物議を醸すものとみられていた。だが、意外にも全員が賛成で意見が一致した。
連邦検察庁のクラウジオ・フォンテーレス検事総長は、「検察庁は、容疑者の銀行口座などの秘密情報へのアクセスできなかった。これは司法の許可を得なくてもアクセスしてもよい問題だと考えていた」と称賛している。
マルシオ・T・バストス法務相は、秘密情報の開示を認めることによって、捜査上、距離を置いていた各捜査機関を接近させることができると評価した。
GGIと秘密情報開示のほかに、次の事項が法案に盛込まれている。
▼公的任務につく側とマスコミの間で、極秘情報が容易に漏れないようにする倫理規制▼資金洗浄疑惑のある人物を洗い出すために、不動産や資産などの登録を実施▼大金運用の銀行口座主に対し、中銀が資金の出所の証明を求める▼資金洗浄の取り締りを強化するため、複数の国との情報交換を促進する▼資金洗浄の捜査技術を、捜査機関すべて統一させる▼資金洗浄関係の訴訟、警察捜査などの書類は裁判所が管理する▼資金洗浄関係の犯罪項目を増やす▼資金洗浄関係の国際条約を認める▼資金洗浄防止対策などのメカニズムを統一させる▼資金洗浄の疑惑人物の資産の凍結を迅速に行なうため、行政府法案を国会に提出し、表決を求める▼公務員の資産を定期的に調査し、不審な動きがあれば捜査を実行する。