12月10日(水)
眩いばかりの風景が広がり、千年以上の歴史文化と最先端技術を持ち合わせる国、それが日本――。十二年にわたる不景気が叫ばれつつも、日本は世界第二の経済大国であり、数十万のブラジル人が、生活の糧を得ようと、この国へ行くことを選択している。
一日十四時間
「より充実した人生を送る夢をみて、私たちは日本にやって来た」と、パステウ販売人のアウヴァーロ・キヨタ。
「私が日本に来たのは、経済的な理由で。ブラジルではどうにもならない」と工場労働者、エレーナ・ハヤカワ。
「貯金することを念頭に入れて来た」と、同じく労働者のアウベルト・ユキオ。
地球の反対側で生活するブラジル人二十八万人は、日本企業の工場が支払う高給を夢見てやって来た。毎日、十時間、十二時間、時には十四時間も、組立ラインの作業場に立ち続ける。
「神様を信じることで私たちは辛抱つよくなれたし、問題に対決することができたのだろう。いつか、後ろを振り返って、『わお、やったぞ。これからも諦めないぞ。また次の、その次の問題も解決してやるぞ』といえる時がくると信じて」。
こう語るファビアーノ・ヒグチは日本のデカセギの勝利者だ。二十四歳で双子の兄弟、ルシアーノと共同でコンピュータ教室の経営者となった。十六歳の時、びくびくしながら日本に降り立ったとは想像できない。
「目的は両親を援助するためだった。ブラジルでちょっと面倒な経済状態に追い込まれていたから。日本に来たかったからでもないし、ブラジルでの楽しい青春時代を手放したいと思ったわけでもない」。
デカセギとは
ファビアーノは典型的な「デカセギ」だ。日本に滞在するブラジル人は、「デカセギ」という言葉の意味を証明している。
ブラジル中央銀行の統計によると、二〇〇二年、日本のデカセギたちは五億三千二百万米ドルをブラジルに送金したという。全世界に散らばるデカセギ送金を合計すると、十七億米ドル。この金額は、同年のブラジルのコーヒー輸出額を上回る。
毎週末、日本の愛知県名古屋市のブラジル銀行には、平均五百人が送金や預金をしようと列をつくる。
デカセギの一人は、「ブラジルで薬剤師として働いていた時、最低賃金しかもらえなかった。いま、私が稼いでいる給料をもらうまで、どのぐらい時間がかかると思う? 私は今、奴隷のように働いているけど、まったく気にしない。十時間半、機械の前に立ちっぱなしだけど、誠実に働いている。それで十分」と胸を張った。
(つづく)
*記事中、「デカセギ」はポ語dekasseguiからの外来語として使用。「ブラジル外で就労しているブラジル人」の意。
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