12月9日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】アラブ首長国連邦のアブダビを訪問中のルーラ大統領は七日、二〇〇四年度の外交目標はインドと南アフリカ共和国へ集中して親密化することだと述べた。並行して、中国とロシアをも含める外交方針を明らかにした。米政府への対決目的ではなく、南米とアフリカ、中東諸国が結束して国際活動に挑むのが望ましいとした。アラブ首長国連邦とは、ブラジルが出超となっている貿易の調整が行われる。
途上国連合G20を設立するために、まず核となるインドと南アフリカ共和国でG3を結成する。今年の方針に従い、中国とロシアを含めG5へ拡張する。最後に南米とアフリカ、アラブ諸国と同盟する。農産物の補助金問題などを米国やEUと同等の立場で交渉するため、G20の存在が必要であると、ルーラ大統領は腹案を明らかにした。
アラブ首長国とはブラジル側が出超となっているので、首長国産の硫黄分の多い原油を輸入する。これはジーゼル油やアスファルト、化粧品などに使用される。
首長国のスーパーには、ブラジル産の砂糖など食料品が大量にあふれている。
大統領はアール・ナヒヤン大統領と会談、国際政治への参加で支援を求めた。米国やEUと対決することなく、理不尽な要求に屈することなく、従属国に甘んじることなく、言い分は主張する。ブラジルは、国際政治へ積極的に参加する外交方針を表明した。
ルーラ大統領は次のように外交方針を明らかにした。「真実を求め主張は明確に。不平等条約は容認しない。国際間で不当行為が行われても誰も抗議しないが、国家主権は守られるべきだ。各国は国家主権を有する。米国が自国の利益を優先するように、ブラジルも自国の利益を優先する。米国一辺倒の国が、想像以上に多いのは残念」だと訴えた。
大統領の希望を入れてブラジリアで十二日、G20閣僚会議が準備されている。世界貿易機関(WTO)の専務理事とEUのレミー代表の出席も確認されている。途上国連合の足並みをそろえることでは、一定の前進は期待される。しかし農産物と投資、政府資材購入の合意は、二〇〇四年十二月の米州自由貿易地域(FTAA)決着までには無理と予想されている。