12月4日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】下院は二日、個人の所得税上限二七・五%を、さらに二年延長する政府上程案を可決した。所得税現行法は十二月三十一日をもって期限切れとなり、一月一日から二五%へ減税する予定であった。しかし、中流階級による税負担は継続される方針。大統領府は審議中の税制改革で中流階級の税負担が軽減されることから、現行所得税率の延長措置に踏み切った。再延長はないものとして、同案は近く上院へ回される。
所得税の補足税率二・五%は、一九九九年に暫定措置として制定された。現政権はこれを二年延長することで、次期大統領選が行われる二〇〇六年まで現状を維持することになる。インフレによる含み益を源泉控除に計上することなく、全額が税収となる計算だ。
PT政権は、厳しい財政状態で政権を引き継いだ。二七・五%税率を継続した場合の差額三十億レアルにのぼる財源を、見逃す理由はないと政府関係者はいう。現行法は千五十八レアル以下の所得は免税とし、千五十八レアルから二千百十五レアルまでの所得から一五%の所得税を徴収。
二千百十五レアル以上の所得を有する個人は引き続き、二七・五%の課税対象となる。これまでPTは二七・五%課税反対を党目標としてきたが、政権取得後は一変した。減税を要求したのは野党のPSDBやPFLだけでなく、労働組合のCUT(統一労組)や労組連合などで法廷闘争に持ち込むといっている。
政府は当初、低クラス納税者を一〇%減らすことを考えていたが、税収減で予算の修正が必要となり撤回した。下院の攻防戦は、熱気を帯びた。野党は上程案を細分化して、各項目別に記名式表決を行うよう要求した。野党案は全て、否決された。上院での表決に、注目が集まっている。