12月4日(木)
【ヴェージャ誌】ジョゼ・セーラ元上議は今年、米国プリンストン大学で〃充電〃し政治の舞台から姿を消していた。千九百万票差の大統領選敗北で傷心し同大で教鞭を執りながら身の振り方を考えるのかと、元上議の知人らは思った。
しかし、元上議が得意とする手書きメモ郵送作戦は活発化し、インターネットによる政界ニュースにも余念がなかった。全国を隠密行で飛び回り、同志を訪ね地下の活動は続けていた。根回しが終わり二十一日、民主社会党(PSDB)の党首に二年の任期で就任することを公表した。
二〇〇二年の大統領選では、PSDBを分裂させたと批判された。今度はPSDBとPFLをまとめ、反PT連合を結成する。往年の政界の大物を持ち駒にそろえ、二〇〇六年大統領選への布石のようだ。
元上議は、夜行性動物のニックネームがある。夜間になると電話をかけまくる。元上議の悪い癖で、友人と思うと余計なお節介をする。軍政時代の友人セイシャス下議(PT)に、保健省は支持票をつなぎとめる最重要拠点だと忠告した。
米国生活は、元上議にとって第二プランだ。PSDBは一九九八年、議員百十五人を抱えた大世帯であった。今は半分強の六十二人に減らし、党の立て直しが元上議の双肩にかかっている。PSDB党大会は、三月の予定だ。同党には、大統領選に食指を動かすミナスのネーヴェス知事もいる。
元上議敗北の軌跡には、米国のゴア民主党大統領候補と共通点がある。大統領の支持を得ながら、協力は得られなかった。大統領と経済政策で見解を異にし、同志からも失策と指摘された。独断専行が多く足並みを乱した。同党内から戦略の拙劣さを批判された。これらの欠点は、選挙戦のさなかで致命傷となった。
異なるところは、ゴア氏は回顧録を出版した。元上議も執筆を始めたが、出版を断念した。ゴア氏はひげを生やした。元上議がひげを生やしたら、エネアス氏のようになる。ゴア氏は九・一一テロのさなか政府批判をして、米国民のひんしゅくをかった。元上議は、こんな愚挙はしない。ゴア氏は殻の中へ、元上議は政界復帰を宣言した。
元上議は、どのように野党色を出すか注目するところ。PT政権は、PSDB前政権の複製版といわれる。今度はPSDBが、野党時代のPT複製版へ変身するのか。PTとの相違は、ひげだけなのか。