もっとも恐れていたことが現実のものとなってしまった。イラクの日本大使員二人が乗る四輪駆動車が銃撃され奥克彦・参事官とアラビア語が専門の井ノ上正盛・書記官の死亡が確認されたのである。バグダットの北にあるティクリートで開かれる復興支援の会議に向かう途中での不幸でありイラク人の運転手も死去している▼イラク北部はフセイン元大統領の故郷でもあり反米の感情は今も強い。そんな「危険な地域」へ出掛けるのだから、十分な警備が必要なのは言うまでもない。確かに「軽防弾車」を使ってはいるけれども、警備員は同乗していない。外務省では「(警備について)できる限りのことはしている」と語っているが、果たして納得がゆくような警戒態勢をとっていたのかとなると疑問視せざるを得ない▼これまでの日本は外国の政治勢力から攻撃されたりを考える必要は余りないのだが、日米関係の強化が進み今のような状況になれば十分な警備は欠かせない。アルカイダの日本攻撃の警告が既に出ておりイラクでの「戦争状態」は続いてもいる。国連や赤十字が襲撃されテロによる米軍などへの殺戮もある。もはや、無防備の外交官でも安全ではない事実を厳正に受け止めるべきだ▼日本の外交官が殺害された日にスペインの情報機関員七人がイラクでロケットと銃撃で殺されているし「イラクは危ない」の認識を強くする大切さを学びたいし、日本は新しい法律をつくり海外での警備強化を強化するほどの決意を持って欲しい。 (遯)
03/12/02