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太鼓の生産始まる=イグアスー移住地=南米市場開拓に手応え=すでにブラジルからも注文

11月26日(水)

 高タンパク質の大豆「オーロラ」や「マカダミア・ナッツ」などの生産で知られているパラグァイのイグアスー移住地で、もう一つの目玉産品が登場した。「和太鼓」である。今年六月に第一号、一尺六寸五分の太鼓が、七月には第二号、一尺四寸の太鼓が、というように、次々と生産が進んで、十一月中旬までに六個が完成した。他に大小三十個が生産工程に入っている。
 寸法は一尺一寸から二尺三寸と変化に富んでいる。朱塗り太鼓も手掛けている。桶胴と呼ばれる板を張り付けたものではなく、丸太をくり抜いた本格的な太鼓である。原料の木材はセンダンとカナフェストが主流だ。日本ではケヤキ材が多いが、移住地では入手が困難だ。センダンは木目がケヤキに似ていて美しい。カナフェストは木目が細かいが、硬い材質なので、音が遠くまで届く。
 今年の正月、イグアスー日本人会(栄田祐司会長、福岡県出身)が、副会長で文化担当の福井一朗さん(岩手県)を責任者とする太鼓工房という部門を設けて、太鼓作り参加者を呼びかけたところ、腕利きの猛者たちが反応した。
 製作にあたっているのは棟梁格の石井吉信さん(六九歳・山形県)、幸坂佳次さん(秋田県)、黒沢貢次さん(群馬県)、大野ミゲルさん(二世)の四人と、移住地の環境に惚れ込み、太鼓演奏指導のため東京から移住してきた澤崎琢磨・雄幾兄弟(本紙・二〇〇二年七月二十七日報道)だ。
 澤崎兄弟の父親は東京芸術大学教授で、日本伝統芸能の大御所の一人だ。すでに、ブラジルから一個、アルゼンチンから二個、注文が届いているという。日本からも引き合いがある。胴と皮をつなぐ鋲だけは現地製造が無理なので、日本から取り寄せているが、それ以外はすべてイグアスー産である。「生産だけでなく、皮の締め直し、鋲止め、張り替え、キズの修繕を含めて万全のアフター・サービスでお応え出来ます。奉納太鼓、装飾用太鼓、記念品用太鼓、などのご相談にも応じます」と石井棟梁は南米諸国の日系コロニアに呼びかけている。
 農産物で勢いのある移住地が日本伝統の太鼓でも南米市場参入だ。問い合わせはイグアスー日本人会「太鼓工房」まで。電話:595-632-20243、ファクス:595-632-20468、メール:nikkaiygpy@foz.net