来週はもう師走。クリクマス・カードや年始の挨拶状をしたためる時期を迎える。
昨今は電子メールで済ます方が増えた。世相を映す映画やテレビドラマでもそうだ。手紙を綴る場面などすっかりみかけなくなった。
最後に記憶するのは伯映画「セントラル・ド・ブラジル」だろうか。
始まりの舞台はリオ中央駅。文盲者を相手に代筆業を営む女性がいる。見知らぬ父への恋しさを手紙に託す少年がいる。
制作は九八年、いまに思えば手紙からメールへの端境期に当たろう。
家族への郷愁、人生の希望。恋心。ここで語られ綴られていた類の言葉の多くは以後、キーボードに打ちこまれることになる。その乾いた音に。
年暮れの多忙な最中、筆をとるのは面倒だ。だが、それが時代とはいえ、メールだけというのはやはり味気ない。(大)
03/11/25