11月22日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】米州自由貿易地域(FTAA)マイアミ閣僚会議は二十日、予定より一日早く繰り上げて閉幕した。会議の幹事役を務めた伯米両国代表は、FTAAを予定通り二〇〇五年に創設することを宣言した。開発途上国の経済力や加盟各国の国内事情などに、配慮した柔軟な協定を目指すことが盛り込まれた。細部については保留のまま、FTAAに新たな大枠を設ける新ヴィジョンが打ち立てられることになった。
FTAAマイアミ会議は各国の利害が交錯し、ブラジルの思惑通りにはならなかった。新ヴィジョン「FTAAライト」は、加盟三十四カ国の国情を包括する大きなスケールが要求されている。次回会議へ繰り越された議題は、さらにふくれ上がった。
会議に出席したロドリゲス農相は、FTAAの崩壊には至らなかったが実質的に成果のない会議であったと評した。ゼーリック米代表は伯米両国代表が同盟関係を結べたことが、せめてもの成果という。FTAAは雄大な構想であり、さらに柔軟性と妥当性を追求すると、同代表は述べた。
関係各国に〃宿題〃を残すことになった。宿題は各国が、FTAA参加への障害となっている問題の解決に取り組むこと。ブラジルは、知的所有権の整備やサービスの規定。米国は、農業補助金制度やダンピング法の廃止となっている。
トリニダードトバゴのFTAA準備会議での閉塞的な空気は、ブラジルも会話不足を反省することで解消した。二〇〇五年一月のFTAA発足までに残された一年間を準備期間として有効に利用することへ、アモリン外相はかけている。
次回会議は六月、ブラジルで開催される。ブラジルはPT政権内外に、FTAA賛否両派がいるので予断は許されない。ルーラ大統領はFTAAブラジル会議開催のころ、経済を活性化させ国際外交で〃中南米の雄〃を演出したいところだ。
FTAAとメルコスールの関係が、危ぶまれている。アルゼンチンとウルグアイは、外資導入と知的所有権、政府の資材購入などでFTAAと一定の距離を保つ考えらしい。アルゼンチンは独自に対米交渉を行うとした。ウルグアイはメルコスールから離れ、他の中南米諸国へ合流することを表明した。両国は外資導入では、ブラジルより一歩先んじて米国と特別協定を結んだ。