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国立海外日系人会館実現を=神戸移住センター=ブラジル音楽フェスティバル=日本人初、ショーロCD=フルートの熊本尚美さん

11月15日(土)

 旧神戸移住センターでブラジル音楽を奏でよう――。兵庫県民ショーロ研究所の代表・熊本尚美さん(神戸、三八)は、来年四月に移民ゆかりの地・旧神戸移住センターから鯉川筋、移民船の出港したメリケンパークを舞台にした、神戸ブラジル音楽フェスティバルを計画中だ。プロのフルート奏者でもある熊本さんは、今回の来伯中に、日本人としては初めてブラジルでショーロのソロCDを発売し、記念パーティも行った。日本でも、まだまだ馴染みの少ないブラジル伝統音楽ショーロだが、これを機にサンバ、ボサノヴァなみの知名度がえられるかもしれない。

▲日本人初ショーロCD▼
 日本人としては初めてのショーロCDを本場ブラジルで発売した熊本さん。その最初には「Naomi vai pro Rio」(尚実はリオに行く)という曲が収められている。
 「この曲が、全てのきっかけです」とは熊本さん。もともとクラシック音楽の奏者としてオーケストラで活躍していたが、二〇〇〇年八月、来日公演していたショーロ界の有名音楽家マウリシオ・カリーリョさんのローダ・デ・ショーロ(輪になって演奏すること)にたまたま参加した。
 「その翌日に、彼からこの曲をプレゼントされ、驚いて舞い上がってしまいました。ものすごく嬉しかった。で、二日後には〃Me espera no Rio〃(リオで私を待って)という曲を作って、彼に渡しました」。この曲も第二曲目に収められている。
 約束通り、〇一年と〇二年に三カ月づつリオへ行った熊本さんは、ショーロ専門レーベル「Acari Record」も経営するマウリシオに誘われ、CDを録音することになった。彼はリオを代表する有名な音楽家を集めた。ほとんどが熊本さんのオリジナル曲で、全てリオで制作した。そして、今年七月に発売。十一月一日に来伯した彼女を待って、三日にセントロ・クルトゥラル・カリオカで発売記念パーティを行った。
 日本では中南米音楽を通して発売し、すでに販売予定分を売り切ったそう。
 「今年になってから、クラシックの方の活動は辞めて、ショーロに専念しています。収入の方は落ちてしまいましたが」と笑う。「ショーロの普及、草の根活動に力を入れてます」。
▲国立海外日系人会館▼
 ブラジル音楽普及のために、来年四月二十三~二十五日に旧神戸移住センターで「神戸ブラジル音楽フェスティバル」を計画している。〇四年は神戸市とリオ市の姉妹都市提携三十五周年にもあたり、「ブラジル移住百周年に国立海外日系人会館(仮称)を実現させよう」という運動の知名度を上げるためにも、このイベントを活用する考えだ。
 旧・移住センターから鯉川筋、メリケンパークを舞台に、「どこかでいつもブラジル音楽が聞こえる」ようリレーライブなどをする。と同時に、「ブラジル移民の歴史発掘と顕彰」「日系ブラジル人との交流活性化」を目指し、パネル展示などを行い、市民への啓発をする。
 「神戸のブラジル人コミュニティの方たちと一緒にやり、一般市民が気軽に参加できるイベントにしたい」と熊本さんは意気込んでいる。