11月15日(土)
世界中で爆発的に人気のある日本アニメのカードゲーム「遊戯王!」だが、隣国チリ・ヴァウパライーゾ県で同アニメに影響を受けたとされる少年二人が自殺する事件が起き、物議を醸し出している。六日付、エスタード・デ・サンパウロ紙などが報じている。
パトリッシオ・ミエレスくん(一一)とカミーロ・ラトラッチくん(九)の二人は、九月末から十月にかけて、首を吊って死んでいる状態で次々と発見された。親戚や学校の友人によれば、二人は「遊戯王」の登場人物が自らの死を経て、さらに強いキャラクターに再生することを真似して自殺したらしい。
しかし、事件を調査した精神科医や児童心理学者らは、日本のアニメが子どもたちを混乱させた形跡は見当らないと断言。サンアントニオ・ヴァウパライーゾ保健サービス所長、ダニエル・ヴェルデッシ氏も、「確かにカードゲームは破壊や権力の横取りなどについて語っているが、それは登場人物の象徴であるだけで、子どもたちを操っているわけではない」と語っている。
パトリッシオくんの父親によると、パトリッシオくんは自殺前日、「遊戯王」の『首吊りカード』を手に入れて大喜びしていたという。しかし、国内の多くの保健専門家は、「九歳から十二歳までの子どもたちは、すでに現実と虚構を理解している。また、この年代での自殺は珍しくない」としている。また、チリ大学病院の児童精神科医、アウフォンソ・コレア氏は、「ゲームやアニメがこの年代層で自殺の引き金になりうるとしても、それは前兆なしでは考えられない。家庭内暴力やアル中患者との生活、鬱病などはっきりした要因がある」と語っている。