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鉄鋼課徴金は規定違反=WTO、米国に通告=ブラジル、損害補償請求へ=輸出国は報復措置検討

11月12日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】世界貿易機関(WTO)は十日、ブラジルをはじめとする二十二カ国からの輸入鉄鋼に対する米政府の課徴金を規定違反とする判断を下した。米国が課徴金制度を廃止しない場合、これら鉄鋼輸出国はWTOに対し報復措置を許可するように要請した。ブラジルは課徴金として、三億五千万ドル負担した。EUは米大統領へ二十二億ドルの制裁金を免れるため、直ちに廃止するよう求めた。

 WTOの最終決定でセウソ・アモリン外相は、損害補償の請求を検討中であることを明らかにした。このような事態が今後起きないために、団体協議で請求手続きに入る意向を示した。
 米政府は昨年、最高を三〇%とする鉄鋼に対する輸入課徴金を設定した。WTOは米政府が、国内企業保護のために設けたセーフガード(緊急輸入制限)方式を妥当とするかの調査に入った。第一審は七月、違法とされた。米政府は直ちに、別のWTO委員会へ上訴した。今回の決定は、米国にとって二度目の敗北だ。
 EUは米向け鉄鋼輸出で、二十二億ドルの損害を被ったとした。WTOの正式文書が手渡されて五日後、制裁措置に踏み切ることを明らかにした。日本や中国なども、損害補償の手続きを行うと発表した。ブラジルでは業界関係者を招集し、米国の保護貿易政策に巻き込まれないように今後の戦略が討議される模様だ。
 EUは十七日、WTOへ対米提訴した二十二カ国の代表を招集し米国が課徴金制度を廃止するように、どのような圧力をかけるか協議する。
 米大統領は十日、WTO決定に対し不満の意を表した。マックレラン報道官は課徴金は合法的なものであると強調した。米国のセーフガードは、WTOの指導に従って実施したという。米大統領も課徴金撤回の意志はないと通告した。
 米政府は大統領選を来年に控え、課徴金制度を継続するか撤回するか早急に決定する必要がある。EUも米政府の足元を見て、報復措置の強い態度に出たと言えそうだ。
 EUは報復として、米国の花形商品を狙い撃ちにすると見られている。例えばフロリダ州産オレンジ・ジュースなどが標的になりそうだ。ブッシュ陣営も、報復を受けた場合の損得計算を急いでいる。