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コラム 樹海

 犯罪がふえた。世の中物騒である。マイナス思考はよくないが、周囲を見渡すと、どうしても滅入る話が多すぎる。先月来、サンパウロ総領事館でコロニアの主だった団体の関係者を集め「安全対策の話し合い」が行われた。館側から強盗や詐欺の被害例が報告され誰しもが「気をつけねば」と思ったに相違ない。最善の防犯対策は「油断は禁物、緊張感を捨てず」にあるという▼昔も今も変わらないが、いざというとき、市民が頼りにするのは、警察だ。それが先週以来、こともあろうに警察自体が標的にされだした。警察は国民の生命と財産を守り、犯罪予防、鎮圧、捜査、犯人逮捕、公安の維持を任務としている▼この警察に刃向かう一派が現れた。警察権力に挑戦する犯罪組織(首都第一コマンド)がそれ。すでに軍警の基地や市警察署、パトロールカーなど含め、五十三件もが襲撃された。警察側は死者三人、十二人の負傷者を出している。軍警夫妻の個人住宅にまで二十発の銃弾を撃ち込むなど、犯行は広範囲にわたる▼この恐るべき犯罪の横行はサンパウロ市近郊はじめ衛星都市、地方に及んできた。一般庶民は、治安の最前線にあって昼夜を問わず精励する警察を信じているし、身じかにいち番の頼りにしている。と同時に愛するわが町、わが村を〃恐怖の色〃に染めたくはない▼日常生活の安寧を願わぬものは一人としていないのである。警察襲撃事件は、一日も早く〃一件落着〃と願いたいものだ。(田)

03/11/12