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カランジルー複合刑務所 トンネル掘り大脱走=サンパウロ市 受刑者87人が逃走=8人が坑内で生き埋め=10日までに48人再逮捕

11月11日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・オンライン、CBNラジオ十日】サンパウロ市北部カランジルー複合刑務所の一つであるエスタード刑務所で九日午後、八十七人の受刑者がトンネルから脱走した。脱走中にトンネルの一部が崩落し、八人が生き埋めになった。警察側はトンネル内でさらに多くの受刑者が死亡したのではないかと捜索を続けていたが、十日午後三時ごろ、警察は「残りの不明者は脱走に成功した」とみて捜索を打ち切った。また、脱走者とみられる男も警察に射殺されている。サンパウロ州刑務所管理局によると同午後三時現在、受刑者四十八人が再逮捕されたという。

 脱走事件は九日午後一時三十分ごろ発生した。刑務所付近の住民が、マンホールから出てくる受刑者たちを目撃し、軍警に通報した。
 別の住民は、自宅の窓から泥まみれ姿の男がのんびり道路を歩いていくのを見て驚いたという。その直後に警察が現れ、二人が再逮捕された。
 脱走直後に、トンネル近辺で再逮捕された受刑者数は二十九人。軍警は、二日から続いている犯罪組織PCC(首都第一コマンド)の警察攻撃のため、州内の刑務所で暴動が相次いで発生する可能性があるとみて警戒態勢をとっていた。
 それから数時間後、刑務所から五百メートルほどの場所にあるジョヴィッタ街百八十番の住宅に隠れていた受刑者十三人も再逮捕された。
 この住宅は、トンネル建設の拠点だった。近所の住民の「怪しい男が二人歩いている」という通報で、警察は同地区を徹底的に捜索。同住宅の前にがれき捨て置き場があったことで、家の中を調査。幾人もの男がテレビを見ていたので、同宅を包囲、再逮捕に至った。
 受刑者らとともに、石工二人も逮捕された。近所の住民は、「この家は五カ月前からリフォーム中だった」と話しており、営業時間に働く石工しか見なかったという。警察は、二人が脱出を手伝ったとみている。
 同刑務所の脱走者の可能性の高い男が十日未明、北部パラーダ・イングレーザ区で、トビアス・デ・アギアル巡察隊(ROTA)の警官らとの撃ち合いで射殺されている。現在、この男の身元確認が行われている。
 古川長サンパウロ州刑務所管理局長官によると、長さ百二十メートル、直径五十センチのトンネルが、外から刑務所の中へ掘られていた。トンネルの外からきた人物が、使用されていない刑務所内工場の床に穴を開けて侵入。門を二つ破り、受刑者たちを導いたという。
 脱走者は、同刑務所の第一、二、三号棟の受刑者たち。今回の脱走事件は、PCCの事件との関係はないとされている。「今年の脱走者数は、昨年(三百八十八人)の三分の一にとどまった。ヨーロッパ諸国の脱走率と同じ比率まで下がっている。この脱走事件が発生したとはいえ、サンパウロ州の刑務所システムは最高の防備能力を誇っている」と、古川長官は断言している。
 過去のカランジルー複合刑務所の大脱走事件は、二〇〇一年に起きた。当時、カランジルー拘置所から百六人が脱走。また、エスタード刑務所から百九人も逃げ出している。カランジルー拘置所は昨年、解体された。