11月11日(火)
【ジアーリオ・デ・サンパウロ紙系ジャー誌】高齢に達しても充実した生活を送る人がますます増えている。五十を超えたからといって、パジャマ姿で家にいて古き良き時代を振り返り、一日中新聞を読むことはない。年齢はたとえ目にみえて表れても、人生を満喫するすべを知っている人はたくさんいる。そうした人々は二つの要素を備えているー強いやる気と若い心を。
二十二年間商売を続けてきたルシアさん(七七)は夫に先立たれた後、劇団に参加した。それがきっかけで高齢者を専門とするモデル会社、Pro Artにスカウトされた。「がんを患っているので、じっと立ち止まっていたくないのよ。私は自分と向き合わなければならない。この仕事は大好き。テレビのコマーシャルにも、ドラマにも端役で出たわ」。モデルの仕事のほかにも合唱隊に参加、ギター演奏にも挑戦している。
泌尿器科医のパトクスさん(七〇)は余暇をダイバーとして過ごす。五十年前からダイビングを続けており、現在はサンパウロ州北部海岸のイリャヴェーラの海域がお気に入りだという。「まだ仕事を続けられ、わくわくする時間を持てることを誇りに思う。頭には一番いい。高齢者は刺激がないと病気になってしまう」と話すパトクスさんは素潜りで十メートルの深さまで楽々と潜ることができる。
サンパウロ市東部の高齢者センター(CRI)では、毎週金曜日に六十歳を超える人たち約五百人が集まり、ダンスパーティーを楽しむ。午後二時に始まったパーティーは午後七時まで続くほど活気づく。終わっても誰も帰ろうとしない。「パーティーは参加者にとって治療の役目も果たします。ここには抗うつ剤を多量に服用している人がいますが、ここに来てから服用量が劇的に減りました」とゲデス・CRI共生部長は話す。
ダンスやスポーツはしないが、年だからといって後に下がっていたくない人たちもいる。エレーナさん(七六)はコンピューターを学ぶ。「コンピューターは私にとって新発見だった。最初はとても難しかったけど、今は大丈夫」。ナンシーさん(八九)はボランティアとして点字を作成する。「六一年からここで活動しています。以前は給料をもらっていましたが、それを断って今は年金だけで生活しています。自分が役立つと感じる間は続けたい」。
ブラジル地理統計院(IBGE)が〇一年に実施した国勢調査によると、六十歳を超える人の数は九六年と比べて増加している。九六年にその数は全人口の八・三%を占めていたが、〇一年には九・一%に上昇した。その一方で、十歳未満の人口の割合は二〇・六%から一八・九%に低下した。
こうした変化は九一年に六十六歳だった平均寿命が二〇〇〇年に六八・六歳に伸びた結果と考えられている。ブラジルには約千四百万人の高齢者が生活し、その数は世界で第十六番目をを占める。国連の予測によると、二〇二五年までにそのランクは五番目か六番目に跳ね上がり、高齢者数は約三千三百万人に達するという。