11月11日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙】地球上では全人口に十分提供できるだけの食糧が日々生産される一方、毎日二十四万人が飢え死にしている。ブラジルでは四千四百万人が飢えに苦しむ一方、七千万人が肥満でいる。異常な現象はそれだけではない。全国民に必要な量を二五・七%上回る食糧が生産され、毎日七万トンの食品がゴミ箱に捨てられている。
ブラジルでは「足りないよりは余る方がまし」という古い考えがまだ残り、特に飽食をあがめる結果を生み出している。事実、一家庭が購入する食品の二割から三割がゴミ箱に捨てられている。ブラジル人が一日に捨てるゴミ一キロのうち、食品は六五%を占める(紙類二五%、金属類四%、ガラス三%、プラスチック類三%)。
「食品の廃棄は、その日に食べるものをちょっと買うよりも買いだめしておく方が経済的に有利だったインフレ時代の名残だ」と
サンパウロ・社会工業サービス(Sesi―SP)食糧担当部のワタナベ栄養士は話す。
食品の廃棄は家庭に限られない。スーパーだけで年間約千三百万トンの食品が、フェイラでは数千トンに上る果物、野菜が廃棄されている。NGO団体「Akatu」によると、千二百万トンの廃棄食品で年間三千万人の栄養状態を改善することができるという。
人々が無駄にしなかった食品は、どのように食品が手に入らない人々の手にわたるのか。マタール・Akatu代表によると、需給の法則によってそれは実現するという。「ムダを避けると、捨てられていた食品が市場に残り、供給圧力が高まることで価格が下がる。それにより、低所得者も食料を購入しやすくなるだろう」。食品を無駄にしない習慣が広まれば、食品価格は低く抑えられる。
食品を無駄にしないためには、空腹の状態で買い物をしない、月ごとではなく一週ごとに必要なものを購入する、濡れた野菜など腐りやすいものは避ける、割引商品は賞味期限が近づいているものが多いので期限をよく確かめるといった、無駄を意識した食品購入が大切で、また、特に七歳までの子に食べ残しをしないようしつけることも大切である。