11月1日(土)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三十一日】検察庁と連邦警察の合同特捜部は三十日、「アナコンダ」作戦を展開、連邦裁判所サンパウロ州支所の判事三人が組織犯罪に関与していたことを突き止めた。作戦で容疑者の事務所や自宅を急襲し証拠物件を押収した。裁判の判決を取引材料とした容疑で、連警の警部二人と弁護士、判事の前妻など八人が拘束された。組織は五州にまたがり背任行為、職権乱用、贈収賄、資金洗浄などを常習的に行っていたと、連警は発表した。
組織犯罪に関与した連邦裁の判事は、ジョアン・R・マットス、カゼン・マズルーム、アリ・マズルームの三人で、そのうち第四刑事法廷のマットス判事には逮捕令状を申請したと検察庁は発表した。高額のわいろを受け取り訴訟書類の書き換えや違法行為の見逃し、無罪放免まで黙過していた。
検察庁の報告によると、まず顧客は弁護士に伴われ連邦警察へ出頭する。連警の警部が、判事から提示された訴訟手続きの〃穴場〃を教え抗弁の方法を指導したという。判事らは犯罪組織のわなにかかった被害者だとして、容疑を否認した。
「アナコンダ」作戦は一年間、電話盗聴などで極秘裏に捜査を進めていた。三十日未明の午前四時、実戦を開始した。組織犯罪はアラゴアス州で始まり、流れをたどると司令部がサンパウロ市にあることが判明した。組織は複数の州にまたがり、訴訟審理の不正処理を仲介あっせんしていた。
組織のカギとみられるマットス判事の逮捕状は、連邦高等裁のカゼルタ判事によって審理中。盗聴記録によればマットス判事が連警の警部に裁判の判決に対する顧客の反応を質したものがあり、犯罪組織構築や裁決変造、公金横領、背任行為などで組織に深く関与していたものと検察庁はみている。
第一刑事法廷のカゼン・マズルーム判事は積み荷盗難に関与。その弟で第七刑事法廷のアリ・マズルーム判事は自分から実業家や連警の警部へ裁判の不法対応法を示唆したり、恐喝と職権乱用、組織構築の罪で告発された。
連邦警察のベルチン監察官は、更迭のみにとどまり拘束は免除された。また弁護士と実業家多数、マットス判事の前妻ノルマ・R・クーニャ容疑者らが拘束された。クーニャ容疑者は国税庁の元監査であった。下院CPIは、組織と密輸の関係も捜査するように要求した。
特捜班は組織の事務所や判事の自宅を家宅捜査し、コンピュータなどの証拠物件を押収した。クーニャ容疑者の自宅からは、出所不明の現金やドル紙幣五十万ドルが押収された。容疑者らは、十五日間の反論猶予が与えられた。告発に対しては、高等裁の判事十八人が起訴の可否を検討中。
告発された判事三人は、容疑を否認し、わなにはめられた犠牲者であると述べた。容疑が立証されるなら辞表を提出するが、反対の場合は告発者の責任を追及すると、判事らは述べた。