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バイオ規制法案を上程=GM大豆の栽培禁止=農業生産者寄りに修正か=環境問題との均衡が争点

10月31日(金)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三十日】ルーラ大統領は二十九日、遺伝子組み換え(GM)産品の使用を規制するバイオ規制法案に署名し、上程した。内容は許可を得ずにGM産品を生産、輸送、販売、保管した場合、三年以下の禁固となっている。法案は今後、農業生産者寄りの議員によって修正される方向にある。開発と環境問題とのバランスが争点になるものと見られる。

 
 GM産品の取引許可は、官房室が取り仕切る審議会で裁可され、これまで裁決を行ったバイオ技術委員会(CTNBio)の同権限は、無くなる。作付け済みのGM大豆は暫定令により来年度販売を許可されるが、販売目的のGM大豆栽培は以後禁止となった。
 九カ月にわたったGM論争は、無許可の栽培者に三年以下の禁固刑を科することで幕を引こうとしている。許可権限を託されたジルセウ官房長官をめぐって、GM擁護派と反対派の駆け引きが続きそうだ。いわくつきの同上程案は、議会でも表決に時間がかかるものと予想される。
 同法案にはGM農産物ばかりでなくGM技術応用の薬品も含まれ、すでに薬局や病院などで治療に深く浸透している。GM薬品に生命を託している病人も多数おり、今後の成り行きが注目されている。
 医学分野でのGM技術は最早、次々に新薬や特効薬を開発し人間の生命活動と切り離せない状態にある。しかし環境団体の関係者は、科学者の説明に聞く耳を持たないようだ。
 暫定令では二〇〇四年四月まで、作付け済みGM大豆の販売が許可される。二〇〇五年の収穫大豆については、ロドリゲス農相とシウヴァ環境相の会談の結果が法案に明記されていないので、まだ不明瞭だ。
 同法案は、環境相の立場を強く配慮したものとされる。議会では農業生産者団体のロビー活動を通じて変更や修正が加えられ、環境相の原案より農相要求の現実的で実利的な線で落ち着くと、大統領府はみている。両相はこれまで十カ月間、農業生産者代表と環境団体代表の立場でGM論議に火花を散らしてきた。
 両相のGM論争は当初、農相の方に有利な形勢であった。環境相が辞任の切り札を出したことで、政府は環境相に助け舟を出した。これは農相の完全勝利との印象を、一般に与えることを避けるためであった。
 下院には農業生産者のロビイストと目される下議が百八十人おり、法案修正には十分な陣容だ。CTNBioからGM許可権限を取り上げ骨抜きにしたと、同グループは憤慨している。
 環境問題は環境相一人の問題ではなく、農業生産者にも深刻な問題だと、GM議員連は位置付けしている。農地占拠運動(MST)などの農業者団体が、環境問題に関与し政治問題にすり替えている。