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軽犯罪者釈放から着手=法相、司法改革に意欲

10月30日(木)

 【エポカ誌】マルシオ・T・バストス法相は、ことのほか大臣職が気に入ったようだ。二十年来の念願であった司法制度改革の旗手となったからだ。まず軽犯罪で拘留されている拘束者を、早期釈放することが目下の課題。そのために治安が悪化するとのそしりを受けても、覚悟の上だという。
 次は法相との一問一答。 【治安対策の改善とは】目下挑戦しているのは法改正ではなく、法執行の方法改善。ブラジルは犯罪防止のための公的機関である警察、裁判所、刑務所の構造改革が不可欠だ。
 【国連人権委のジャハンギル特使は、ブラジルの司法府、刑務所、警察を視察して驚いたようだが】刑務所の問題は超満員なだけではなく、資金不足もある。拘束者の出入管理を、もっと工夫するべきだ。拘束不要な者まで拘置され、超満員となっていることが汚職の温床を作っている。汚職は組織犯罪への格好の道具になる。ブラジルで仮釈放となるのは一〇%以下だが、英国では八〇%に達する。
 【軽犯罪なら仮釈放になるか】犯罪に二つのタイプがある。組織を指揮する知能犯や他人に危害を与える
凶悪犯は厳重に拘束するが、過失程度の軽犯罪は刑務所に拘束する必要はない。
 【資金不足の中で組織犯罪対策は】連邦警察と検察庁、国税局、司法官、軍警の連携プレーが必要だが、まだ機能していない。理想では一万五千人の連警捜査官が必要だが、実際には三千人しかいない。
 国税庁や社会保障院、連邦警察内にまで組織犯罪の手は伸びてきている。海外への不正送金や資金洗浄に至っては、中央銀行は実態をつかんでいない。犯人らは敏感で妙な動きがあれば、直ちに資金を移動する。
組織犯罪対策は、司法制度の改革から始めねばならない。司法府に新しい空気を入れない限り、ブラジルの民主主義は定着しない。
 【司法制度の改革はあるか】司法制度のIT(情報技術)化など一部は、憲法を改正しなくても可能。不可欠なのは、外部から管理する諮問機関設置だ。敏速に対応できる司法制度が、ブラジルに求められる。
 【法相案の盗聴法は】司法官に、盗聴は不可欠だ。現状は、悪用したり越権行為として盗聴されることが多い。マスコミは、司法官より先に盗聴している。これに一定基準を設ける必要がある。