先々週の当欄で「日伯総合センター」構想発表の方法についてふれた。ごく限られた関係者のみ知る青写真を、上原文協会長が日本で発表し、地元を聾桟敷においたことへの〃声無き声〃を重視したためだ。五年後の移民百年祭は老齢化の一途を辿る一世が参加する最後の事業と思えば、小事に拘わらず何事にも無関心ではおれぬ▼上原さんは、コロニアのトップ文協(ブラジル日本文化協会)の会長として訪日した、と多くの人は思い込んでいる。これについて『JIKA(日伯総合センター)委員会が作ったもので、文協としてではない』―二十二日付本紙―との釈明があった。とすれば、訪日前、コロニアにひと言説明しておけば問題にされなかっただろう。これに対し「それが私の落ち度であれば、お詫びします」と陳謝した。質問の矢面に立ち、誠実に応答した態度を了としたい▼この〃寝耳に水〃問題は、途中の手順を省略したがために起きた。手続き、つまり発表の順序を手抜きした点にある。これなど「日伯の同時公表」とすれば事足りる。こうしたボタンの掛け違いが後々まで尾を引く事態は避けねばならぬ。多忙な会長の立場を慮かり、事前に耳打ちしてやれる仕組みを早急に確立してほしい▼上原さんがおっしゃってるように「いま三つ四つの団体の会長だから(混乱を招きやすいので)少し数を減らさないと…」は偽りのない本心であろう。何でもかでも彼一人に押しつける風潮は改めていかねばなるまい。 (田)
03/10/29