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ブラジル非常任理事国入り=国連、賛成多数で可決=大統領が早速「構造改革論」=常任理事国にも意欲

10月25日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十四日】国連の安全保障理事会は二十三日、ブラジルに対し九回目の非常任理事国入りを賛成多数で承認した。イラク問題で国連が米政府の国連無視により微妙な立場にあるいま、国連の組織と機能を熟知するブラジルの登場は、世界各国の注目を浴びている。最近のルーラ大統領が、米政府を向こうに対決色を濃厚にしていることで、耐火試験ともうわさされている。政府は非常任理事国入りを踏み台に、常任理事国入りを目指している。

 二〇〇四年の国連安全保障理事会の役割は、今後の国連の在り方を決定すること。安保理で協議される議題は、イラクの戦後統治に関する内容で波乱は確実とされている。ブラジルは、来年一月から二年の任期が与えられた。
 米政府が国連決議を無視してまで、イラク武力介入へ踏み切った背景には複雑な理由があるようだ。安保理は、ほかにテロ対策やパレスチナとイスラエルの中東問題、石油利権、米政府とEUの背後に控える超巨大組織の思惑などが激突する舞台となる。
 PT政権は、安全保障理事会に一石を投じ、大上段に構えての挑戦だ。国連での提案と戦略は、長年温めてきた腹案がある。特に米代表をはじめとする五カ国の常任理事国が、新参のブラジルに圧力をかけてくることは必至。
 ブラジルの非常任理事国参加は、常任理事国の実力に匹敵する外交能力が証明される機会と、外務省はみている。安保理への第一提案は、常任理事国の中に途上国代表のため席をもう一つ設けること。安保理が国際問題を討議するのにふさわしい場であると世界を説得することだと、外務省は強調した。
 安保理へのブラジルの抱負は、九月開催された第五十八回国連総会の開幕演説で、ルーラ大統領が訴えた。「国連は、紛争のがれき掃除のために誕生したのではないはずだ。紛争は人命重視を優先するなら、回避できるものであった」と述べ、人類を破滅へ向かう危険にさらすような国際勢力の横暴を抑えるため、大統領は「国連の構造改革」を開幕演説で呼びかけた。
 ブラジルの非常任理事国入りに寄せて、ルーラ大統領は国際政治のかじ取りとして、国連安保理に「活」を入れることは不可欠だとした。そのためには常任理事国メンバーが六十年前の国連発足時のままでは、いけないとした。その後の世界情勢の変化を常任理事国は、無視してはならないという。
 途上国は、世界平和の大切な要因だ。途上国は追い詰められても過激な手段に走らず窮余の解決策を求め、塗炭の苦しみを味わっていると、大統領は訴えた。ブラジルは自国の安全と繁栄だけを求めず、安保理非常任理事国として世界平和に貢献すると述べた。