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夫婦生活の中で人徳を高めよう=「聖母のチーム」存続=武内神父の遺志を継いで=日系人は71年から運動

10月25日(土)

 「先生の遺志は絶やさない」──。夫婦生活の中で人徳を高めようというカトリックの運動の一つ、「聖母のチーム(Equipe do Nossa Senhora)」。ブラジル日系人信者の間では、武内重雄神父(一九〇九年~二〇〇三年)が七一年に初めて、グループを旗揚げした。同氏の亡き後も、メンバーは火を消さないで活動を続けている。
 この運動はヘンリー・カファエル神父によって、一九三九年にフランスでスタートしたもの。洗礼を受けた夫婦四~七組が定期的に集会を持ち、決められたテーマについて、見識を深める。
 国際大会が六年に一度、開かれる。前回(〇〇年)の開催地はスペイン・サンチャゴだった。次回(〇六年)はイタリア・ローマの予定。
 ブラジルには五〇年ごろに伝わり、各地にグループが結成されていった。武内神父は七一年、日系で初となる「暁の聖母のチーム」を組織した。
 日系信者のパロキア(小教区)がアグロ・ネッシ大司教(当時)の肝煎りで、六六年に設立。武内神父は主任司祭に任じられ、サンパウロ、パラナ州奥地にも活動の場を広げた。特に、青年教育には力を注いだという。
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 「武内神父の訃報に接し、メンバーに動揺は無かった」と森田マルコスさん(五四)=サンパウロ市=は気丈に振る舞う。「信徒にとって、死は当たり前のもの。天国にいけば、神に会える」。
 森田さんは七六年、結婚を機にカトリックに改宗。以来、二七年に渡って武内神父に薫陶を受けてきた。「この運動のおかげで、人間的に成長した」。
 同氏に捧げるため、片山弥吉著「日系キリシタン殉教史」(時事通信社)を翻訳中だ。聖母のチームの会合が今年五月初めて、サンゴンサーロ教会で行われたおりに、出会ったもの。本人に思い出深い書籍だという。
 B5変型判で七百ページに及ぶ。「数カ月で完成させる予定だったけど、もうちょっと時間がかかりそう」と苦笑しながらも、固い意志がのぞく。
 サンゴンサーロ教会のジョゼ・フラビオ・タルデン神父が後任に入った。
 現在、「暁の聖母のチーム」には日系夫婦五組が入会。毎月一回、持ち回りで集まっている。〇三年~〇六年のテーマは「世界と教会におけるクリスチャン夫婦の生き方」。質疑応答などを含め、三時間ほどみっちりと学ぶ。