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コラム 樹海

 政治家にも定年があるのかどうか。衆院選挙を控えて自民党が揺れに揺れている。党の若返りを望む執行部は比例候補の七十三歳定年制を決めたのだが八十五歳の中曽根康弘氏と八十四歳の宮沢喜一氏という首相を務めた長老がいる。それでも宮沢氏は「総理総裁に恥じをかかせるわけにはいかない」と淡々と引退を表明したが、中曽根氏は「激怒」▼「浮沈空母」発言などで知られる中曽根氏は戦後の政治家としては超一流とする人が多く評価は高い。雄弁家でもあり憲法改正の実現が夢でもある。比例代表に回ったときに橋本首相から「終身一位」とするの約束もある。それにも拘わらず小泉首相から「引退勧告」されても―が中曾根氏の言い分なのだけれども、ここでどう決着をつけるかは難しい▼八十五歳と年齢的には高いが、知力も体力も決して衰えてはいない。雑誌などには政策論を堂々と寄稿し三十分や一時間の演説ならば原稿なしで鋭く論点を突く。こうした現実を見れば、年齢だけでの引退論には無理があるようにも思える。とは言いながら「若返り論」を無視することもできないのも事実▼だが、これだけ優れた政治家でもあり永田町を去っても政界に影響力を与えることはできるのではないか。宰相吉田茂を始め石橋湛山や岸信介。福田赳夫と鈴木善幸なども総理総裁のあとは引退している。隠棲のような人もいるが、吉田茂や岸信介と福田赳夫などは影響力が強かったし、政治家としての筋を通したのは間違いない。中曽根氏にも同じような生き方ができるのではないか。     (遯)

03/10/25