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三原芥さん好成績=芭蕉祭俳句、2句特選に

10月23日(木)

 [一部既報]第五十七回芭蕉祭献詠俳句にブラジルから応募した作品の入選句が、このほど世話人の中林俊二さんのもとに届いた知らせによりより判明した。三原芥さんが特選に二句入選した。二句入選したのは、数年前初めて快挙をなしとげた広田ユキさんに続いて二人目。三原さんは、現在、『朝蔭』の中堅。かつては春風の号で日本の『雪』俳壇の初期に巻頭、準巻頭をもらったベテランである。
 入選作品は、
 ◇一般特選
《宇多喜代子選》
燈下親し無我自然てふ手垢の書  三原  芥
《金子兜選》
吾れ掘りし五十三メートルの若水よ 三原  芥
《星野椿選》
対岸といふも百キロ虹の橋     細梅 鶴孫
 ◇一般入選
《有馬朗人選》
鍬だこの祖母の手をひき移民祭     広田 ユキ
《稲畑汀子選》
胡麻刈っていつ帰るとも無き子待つ   佐藤美恵子
平穏の暮らし涼しき星の下        新井 知里
《宇多喜代子選》
耳かきと孫の手作る竹を伐る      香山 和栄
日短か四時には小屋に帰る鶏      壇  正子
《鍵和田柚子選》
言葉とは整えるもの菊咲けり      浜田すみえ
《金子兜選》
身に沁むや磨きぬかれし消防車     馬場園かね
寒灯や日本人には吠えぬ犬       井上 人栄
移民と言ふ言葉も消えて日向ぼこ    細梅 鶴孫
軒に吊る蛇見て見合せず帰る      名越つぎ代
春の川倒木潜るえくぼ渦       中林 俊二
機嫌悪しき孔雀あきらめ兎撮る     猪野ミツエ
熱燗に天下論じて移民老い       西田はるの
《塩田薮柑子選》
秋蝶の羽閉じ吾子も眠りたる       加藤 淑子
《長谷川櫂選》
移民には二つの祖国花珈琲       広田 ユキ
《早崎明選》
牛千頭移動の足音濃霧揺れ       岡本 朝子
《古館曹人選》
寒波来てシャツ一枚の反抗期      猪野ミツエ
《星野椿選》
果てるとも悔いなき大地銀河濃し    今野千枝子
ブラジルに禅僧一人冬安居       片山 司蘭
天高し異国に老いて幸ありし      遠藤 皖子
波の間を牡蛎養殖の舟往来       中川千江子