10月22日(水)
[既報関連]NHKが放送開始八十周年を記念して、ブラジル移民をテーマにしたテレビ・ドラマ「ハルとナツ」(仮題)を制作する。脚本は「おしん」を書いた橋田寿賀子さん、放映は〇五年秋が予定されている。神戸の日伯協会のボレチン『ブラジル』(九―十月号)によれば、先月はじめ、NHKのドラマ映像制作の佐藤峰世エグゼクティブ・ディレクターらスタッフ四人が、事前調査に旧神戸移住センターを訪れた。日伯協会としては、旧センターがドラマの舞台になることは嬉しいことであり、佐藤氏一行に歓迎の意を述べたという。
ドラマの時代的背景は一九三四年(昭和九年)。移住センターは当時神戸移住教養所といった。スタッフは、建物の外観、内部、周辺の環境、町のただずまいを知りたかった。室内では、医療室がどんな感じの部屋であったか、備品の配置を保存写真で確認、資料、現物にふれていた。
つぎに、移住した人たちは当時どんな服装だったかを、展示写真や写真アルバム集から捜し出す。女性は日常的に着物だったが、洋装に変わっている。男性がみな帽子をかぶっているのを知ったのも新しい発見だった。神戸市街、港とも大きく変わっている。これは当時の雰囲気づくりに欠かせないハードルだという。
センターを見学するにつれて「出発前に玄関の前で集団記念写真を撮るシーンがいいな」とのイメージがわいてきたようだ。ドラマには、日本を去る最後のシーンとして、神戸での移住者撮影は重要な場面だ。移住者の希望と不安が入り交じった様子とともに、旧移住センターの戦前がよみがえることになる。日伯協会としても時代背景を写し、歴史に裏打ちされた、大人の鑑賞に耐える楽しいドラマを期待している。
出演者はそのうちに決まるようだ。「ハルとナツ」は、七十四分もの五回連続の大河ドラマである。