10月22日(水)
愛知万博開催まで残り一年半あまり。すでに入場券販売はスタート、先月までに世界百十八カ国、八つの国際機関が参加を表明するなど着々と本番に向けて準備が進んでいる。
「愛・地球博」と銘打たれ「自然の叡智」をテーマに掲げる万博。アマゾン、パンタナールなど豊富な自然環境を抱えるブラジルが参加となれば、注目を集めること必至だが、ブラジリア日本大使館によると、「主要国で参加表明していないのはブラジルだけ」。会場内に国別パヴィリオンを手配する都合から、「もうこれ以上は待てないぎりぎりの状況にある」と困惑の表情を隠せないでいる。
万博の名誉会長はトヨタ自動車の豊田章一郎氏。副会長は経団連会長の奥田碩氏が務めるため、ブラジル日本商工会議所の方でも、ブラジル政府の煮え切らない態度には相当気をもんでいる様子だ。
ただ、最後の最後には決まる、との期待感は根強い。「出たいことには出たいとする態度は示してくれている」。これまで数回にわたる接触から大使館関係者もそう認める。だからこそ、期限切れでも待ちつづけているわけだ。
南米で参加表明していない国はこれでブラジル、パラグアイ、チリの三国となった。しかし、開催地・愛知県に日系ブラジル人が数多く居住することを考慮しても、ブラジルの参加メリットは他国に比べ少なくない。さらに、テーマは自然。緑の大国としての威信もかかっている。
難航する背景には、ブラジル政府内の意思決定プロセスがスムーズにいっていないためでは、と指摘する声が各方面から聞こえてくる。長年の悪習ともいえる「ブラジル時間」が決断を遅らせる結果を招いている可能性も大きいが、ここは一刻も早い参加表明が望まれるところだ。
万博は二〇〇五年三月二十五日から同九月二十五日までの百八十五日間、開催される。