山形は日本四位の米どころ。同県人会創立五十周年式典の祝宴では、その代表米「はえぬき」の握り飯が振舞われた。
光る米粒をほうばる来賓ら。その胸元を飾るのは野暮なバッチではなく大きな蘭の花だった。
こんな粋を計らう県人だったか。同県出身の著名人が気になった。帰宅後探れば、歌人の斉藤茂吉、建築家の伊藤忠太、写真家の土門拳……など近代日本の学術文化を支えた人物がずらり。移民のなかにも、造形作家の豊田豊さん、著述家の鈴木貞次郎(号は南樹)といった才人が居並ぶ。
式典であいさつした野村丈吾元下議は、「〝ベイジョする〟というコロニア語を始めて使ったのは南樹さん」と語ったが、山形にはモダンを生む気候風土があるよう。
同じく全国四位という果樹栽培の主要産品がチェリーにラ・フランス(洋ナシ)と聞いて納得。 (大)
03/10/21