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伯亜首脳会談行われる=FTAA修復狙う=同盟結び南米共同体の核に=メルコスルの規模拡大

10月17日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】アルゼンチンを訪問中のルーラ大統領は十六日、キルチネル亜国大統領と共同声明を発表した。声明書はブッシュ米大統領へあてた懐柔的内容で、ブラジルの強硬姿勢で閉塞状態にある米州自由貿易地域(FTAA)交渉に、対話継続で歩み寄りを見せたもの。ただし、途上国の立場を考慮したFTAA協定の締結を要望するとしている。国民の犠牲を最小限にして、両国は対外債務の決済にも最大限の努力を払うとした。

 FTAA準備会議でブラジルが孤立したとする印象を払しょくするため、ルーラ大統領はキルチネル亜国大統領と共に伯亜共同声明を作成、伯亜両国から発表した。世界貿易機関(WTO)カンクン閣僚会議で前進がなかったことを遺憾とし、FTAAでは公平な協定締結を望むとする意志表示も初めて行った。
 メルコスル提案のFTAA4プラス1案には、キューバも含める案が提言されている。同じくキューバを訪問したビエルサ亜国蔵相も同意した。
 同行のアモリン外相は、FTAAは協定内容の充実を願うもので、是非を問うものではないと自説を繰り返した。声明書作成の最終段階では〃自由貿易〃の解釈をめぐる議論に多くの時間を費やした。これはワシントンの新自由主義派を意識した、伯亜同盟の結成を意味する。
 今回の訪亜目的は、EU共同体の立ち上げに音頭を取った独仏同盟にならい、メルコスルを南米共同体の核とすることで伯亜同盟の結成を狙ったもの。
 もう一つの目的はメルコスルを単なる通商協定にとどまらず貧困対策、債務決済にも及ぶこと。下層階級を犠牲とせずに対外債務を決済しながら、経済回復と決済遂行を両立させることで認識を一致した。
 FTAA交渉で、ルーラ大統領が外務省に対し対米路線の変更を命じたという憶測を、外相は否定した。米政府を刺激する発言は、慎むよう注意されたという。外務省の外交姿勢が、思想に固執するという批判がある。外務省は伯米関係は良好であると理解しているので、米側発言は奇異に映ると外相は述べた。
 また自由貿易について伯亜間には、政府資本財購入の問題がある。同件はメルコスルの閣僚会議でも、五年にわたって討議された。両国の企業家は地場産業と同等資格で、他国の国家事業の入札に参加ができる。今回訪問中、同件は亜国の企業家との会合で再確認が行われるはずだ。
 亜国大統領官邸で非公開の伯亜首脳会談を行い、両国代表による貿易監査委員会も結成される予定。ブラジル側から大量の靴、タオル、三輪車が亜国市場へ密輸され、亜国企業に混乱を来したとする抗議にこたえるもの。