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隣国のブラジル人救出へ=大統領 空軍に出動指令=15日夜、ボリビア向け出発

10月17日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日、時事】ルーラ大統領は十五日、アルゼンチンへ向けて出発する直前、ブラジル空軍にボリビアに滞在するブラジル人旅行者を救出するよう要請した。空軍機二機は同日夜遅く、ボリビアへ向けて飛び立った。途中、これにカンポ・グランデ市に駐留していたヘリコプター部隊が加わった。
 ブラジル政府はこの救出作戦を非常に危険なものと考えており、空軍は作戦を秘密裏に展開する。サンチェス政権に反対する軍事勢力、反乱分子がブラジル空軍を襲う可能性があるからだ。ラパス空港の使用は現在、制限されている。ブラジル外務省の公式発表によれば、在ラパスブラジル大使館の情報と見解を十分考慮して同作戦を実行に移した。
 約一万人のインジオが十五日、中心都市ラパスに集結しサンチェス大統領の辞任を迫った。同デモ隊は同国軍と衝突、四人が死亡した。これで六日間に七十人の死者を出したことになる。
_ ボリビアからの報道によると、同国のサンチェス大統領は十五日、反政府抗議行動が激化する原因となった液化天然ガス(LNG)対米輸出計画について、是非を問う国民投票を実施すると発表した。しかし、反政府行動を率いる野党・社会主義運動(MAS)のラレス党首は、あくまでも大統領の辞任を求めるとしている。
 抗議行動は中心都市ラパスを中心に広がっており、十五日には国軍部隊と衝突したデモ隊の二人が死亡。地元人権団体は、九月末からの騒動による死者は八六人、負傷者は五百人以上に達したとしているが、正確な犠牲者数は不明だ。
 LNGの対米輸出計画をめぐっては、政府が先月、国境紛争を抱えるチリ経由とする方針を決定。これをきっかけに、野党勢力による政権批判が一気に拡大し、サンチェス大統領は今月十三日、計画を白紙撤回すると発表していた。