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旧神戸移住センターを活用=「海外日系人会館」へ=推進協 08年実現めざす

10月17日(金)

 [既報関連]国立海外日系人会館推進協議会(神戸市中央区、日伯協会内)は、「未来にはばたく日系人のふるさと、国立海外日系人会館=仮称=を実現しよう!」と、このほど広報パンフレットを作成した。会館の建物は、ブラジルに渡航した移民たちが乗船前に研修した旧「神戸移住センター」を保存、活用するということである。協議会は、二〇〇八年まで実現したい、としている。
 旧神戸移住センターの変遷はつぎのとおりである。
 一九二八年 国立神戸移民収容所オープン。
 一九三二年 神戸移住教養所
 一九四一年 戦時につき閉鎖
 一九四二年 大東亜要員錬成所(終戦まで)
 一九五二年 神戸移住斡旋所(再開)
 一九六四年 神戸移住センター
 一九七一年 閉鎖
 協議会によれば、移住者たちが日本最後の数日を過ごした建物は七十五年経たいまでも健在、海外移住の生き証人として訪れる人々に歴史を語りかけている。しかし、このまま放置すれば、建物自体が使い物にならなくなることは目にみえている。一刻も早く保存への取り組みが必要だ。
 実現後、国立海外日系人会館はどういうことをするのか。大別してつぎの二つだ。
 (一)次代を担う子供たちのために、母語教育と歴史教育の拠点に。
 日本就労者の子弟のために、帰国に備えて母国語の教室を開く。パソコンを揃えインターネットをいつでも利用できるようにする。母国の身内や友達とメールを交換したり、インターネットで新聞を読めるようにする。会館に来ればふるさとはいつも身近。
 移住の歴史資料の展示。海外移住の歴史を学ぶことは国際化の実例にふれること。小中学生、高校生に大切な学習の機会を与える。
 (2)日本と南米を軸に友情の懸け橋、文化と交流の発信基地にする。
 日本就労者を対象に労働条件、健康保険の相談やセミナーを行う。日系人が気軽に集えるコミュニティをつくっていく。
 音楽、芸術のイベント、祭りなどを開催し、日本人、日系人が楽しく交流できる場とする。コーヒー、フルーツをはじめ海外日系人が世界各地で育てた物産の直売コーナーを設けることもできる。観光スポットにもなれる。
 海外日系人の心のシンボルとして、世界の国々との理解と友好をつむぐ場として、海外日系人会館の、二十一世紀の新しい役割に期待しよう――新しいパンフレットはこう結んでいる。