10月15日(水)
広島、長崎両市は九月から、ブラジル在住の被爆者に健康管理手当を支給している。援護事業の対象に入った人とそれからもれた人との不平等が表面化。在ブラジル南米被爆者協会(森田隆会長)の懸念材料となっている。
手当支給期間は病状などによってランク分けされ、個人の銀行口座に直接、振り込まれる。満期を迎えるたびに、更新のため訪日しなければならない。九七年十二月からが対象期間になるため、まとまった金額が一度に送金された人も。
支給がスタートした九月以後、該当者と判断された被爆者のうち七人が国の援助で渡日。所定の手続きを済ませた。
一方、大部分の人は高齢で健康上何らかの問題を抱えており、訪日は無理な状態。約四十人は手帳も保持していない。森田会長は「本当に援助が必要な人が、取り残される形になった。同じ会の中で不公平が生じている」と危惧する。
南米被爆者健康診断事業医師団が二十四日から来月三日にかけ来伯。サンパウロ、マリリア、クリチーバ、リオデジャネイロの四都市を巡回する。
被爆者協会は藤田雄山広島県知事、金子原二郎長崎県知事宛に要請書を提出。医師団の派遣に合わせて、被爆者手帳に代わる認定書を発行するよう求めた。
森田会長は「医師団の来伯は我々にとって、大きなポイントになる。在外被爆者が等しく国の援助を受けられるよう働きかけていきたい」と話している。