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古き良きモノ愛用=ファンが支え続ける=見直されるフェルト帽

10月11日(土)

 頭の形の寸法にぴったり合ったフェルト帽、ヨーロッパの一定の地域でしか針が製造されていないレコードプレーヤー、タイプライター。時代に忘れ去られたと思われがちのレトロ調の商品は、忠実なファンたちのおかげで、時を超えて現在でも愛用され続けている。専門家らは、「レトロは時代遅れだと断定することはできない。違う用途のために製造されたものでも、新しい形で使われていくこともあるからだ」と言明している。

 [フェルト帽]
 サンパウロ市中心部セミナーリオ街の「シャペラリーア・オペラ(オペラ帽子店)」は、1954年に開業。90年から、それまで後退傾向を見せていた市場が、60年代と比べて70%も回復した。店主のジョゼ・M・ジョルジェさんによると、95年から帽子の販売が20%増加したという。現在、月に200個以上の帽子が売れている。
 同街には「エル・ソンブレーロ」帽子店もある。こちらは35年に開業。祖父から同店を継いだAbram Kirszenwurcelさんは、「帽子は常に人々の生活の一部として使われてきた。50年前には帽子は常用されていた。最近でも皮膚がん予防として帽子を使っている人がいる」と話す。
 同店には有名人のお客さんもくるという。ジョー・ソアーレス(TV司会者)、セルジオ・レイス(セルタネージョ歌手)、スーラ・ミランダ(歌手)などがこの店の帽子を愛用しているという。
 [タイプライター]
 打つと独特な音がするタイプライター。現在でもブラジルの事務所や企業、銀行で使用されている。タイプライター店「マスパ」は1972年に創設。マット・グロッソ州、パラナ州、リオ・グランデ・ド・スル州を中心に、全国へタイプライターを出荷している。
 テープ付き計算機なども販売しており、店舗には100年以上も前に作られたタイプライターと計算機が飾られている。
 [レコードプレーヤー]
 レコードは91年からCDに市場を奪われてきた。現在でもLP愛好家たちはいるが、レコードプレーヤーの針を誤って壊してしまった場合、2度とLPを聞けなくなる恐れがある。
 サンパウロ市中心部にある「ポルタル・ダス・アグーリャス」は、ディスク・ジョッキー(DJ)や高質の音を求める人々などが訪れるレコードプレーヤー専門店。
 レコードプレーヤーの針の価格は非常に幅広い。一般的なモデルで使える最低価格は6レアルだが、高級なモデルだと1300レアルもする。同店の販売人によると、針の中にはCDよりも良質の音を再生するものもあるという。
 ブラジル唯一のレコード製造会社「ポリー・ソン」は2000年、LP27万7千230枚、CD1万2千枚を製造した。だが、昨年のLP製造数は5万720枚と大幅に減った。同社のルシアーナ・C・ゴンサウヴェス工場担当は、「我々の顧客の95%が、小規模な録音会社や個人である。ヨーロッパや米国ではレコードの販売は落ちなかったのに」と説明している。