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軍警、スピード違反者射殺=自首し正当防衛主張=被害者の妻「殺人」と反論

10月10日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙、フォーリャ・デ・サンパウロ紙九日】サンパウロ市東部サンミゲル・パウリスタ区で八日未明、移動式レーダーの罰金問題でレーダー操作員と口論になった商人のサムエル・E・カラスコさん(三一)が、操作員を護衛していた軍警官に射殺される事件が発生した。
 カルロス・R・ヴァレリアーノ軍警軍曹(四七)は、五時間後の同午前六時にエルメリーノ・マタラッツォ区第六十二警察署へ自首した。同軍曹は故意殺で起訴されるが、逮捕はされていない。警察側は、自ら犯罪事実を申告し、犯行に使った銃器も渡したからだと説明している。
 事件は同午前零時三十分、同区アシス・リベイロ大通り一〇五〇〇番付近で起きた。ヴェクトラ車を運転していたカラスコさんは、妻・リッタ・C・パガニーニさん(二四、教員)と親戚の誕生日パーティーから帰宅するところだった。
 事件現場付近を通りかかった時、突然フラッシュが光った。中央分離帯にある移動式レーダーが、カラスコさんのスピード違反現場を撮影したのだ。同地のスピード限度は時速五十キロ。リッタさんは、「夫は時速六十キロで走行していた」と述べている。
 この事件には二つの主張がある。妻の「一方的な殺害」説と軍曹の「正当防衛」説である。
 妻によるとカラスコさんは、暗くて人気が少ない危険な場所で、夜中に移動式レーダーを使うとはひどいと、車から降りて操作員に文句を言った。だが夫は二人の男に囲まれ、うち一人に拳銃で殴られレーダー機の上に倒れた。その後、同じ男がカラスコさんを撃ったという。
 銃弾はカラスコさんの左腕を突き抜け、心臓で止まった。カラスコさんは妻に支えられて車に戻り、運転を始めたが、しばらくして気絶。市警刑事にチーデ・セトゥバル病院へ運ばれたが死亡した。
 一方、ヴァレリアーノ軍曹は、「被害者が銃器を取り出すジェスチャーをしたので撃った。後で銃を持っていないことに気がついた」と、正当防衛説を供述。同軍曹は事件当時、レーダー操作員のワシントン・L・S・バストスさん(三〇)のガードをしていた。軍警官のアルバイトは禁じられている。
 同軍曹は軍警勤務二十四年になるベテラン警官。第六十二警察署のジウマール・P・コントレーラ警部は、「取り調べで軍曹がうそをついている疑いがあれば、拘置状の発行を求めるつもりだ」と明言。「軍曹はわたしにも銃を向けた」と証言する妻も事情聴取し、もう一人いたとされる男について詳しく聞くもよう。
 カラスコさんは、過去二年間に交通違反罰金を七回科されており、すでに千九百九十九・二五レアル分を滞納している。また二〇〇一年十一月、車両登録と自動車税(二千二百二・一一レアル)の滞納で車両証明書類を押収されていた。カラスコさんはペットショップ店主で、犯罪歴はない。親族は「落ち着いた性格でけんかをするような人ではなかった」と声を落とした。