キューバ訪問の是非問う=独裁政治称賛は失敗
10月9日(木)
【ヴェージャ誌】国連総会におけるルーラ大統領の開幕演説は素晴らしかったが、帰途キューバへ寄ってカストロ首相の独裁政治を称賛したことで台無しとなった。大統領は海外へ行ったら、ブラジル国民の代弁者であることを忘れたのか。
国連ではブッシュ政権のテロ対策に集中攻撃を浴びせ、帰り刀でメキシコ訪問までは良かった。三人の野党指導者を思想が異なるからと処刑し、七十五人を投獄した直後のキューバへ立ち寄った。不遇の亡命時代をキューバで過ごした官房長官やフレイ・ベット大統領顧問、アルーダ下議らは涙の追憶となったらしい。
しかしキューバ政府は、経済的に完全に破綻した国家なのだ。キューバの頑迷不屈さでロシアもサジを投げた国に、ブラジルが経済支援をしようというのだ。意見の相違で脳天に弾丸を打ち込むことしか考えない国への援助は、政治でも外交でも頭痛のタネ以外の何物でもない。キューバへの経済援助は、キューバ訪問の言い訳だと国際社会はみている。
キューバの政治形態が変革する日のために、ブラジル企業は門戸を開いておくと、大統領はいった。独裁政治が終えんしたら、キューバは米国向け輸出基地に早変わりする。ブラジルはいつものように、波に乗り損ねる。キューバは、門戸を開いてくれた恩などを覚えているだろうか。
大統領は国連総会で、安保理の常任理事国への候補を名乗り出た。理事国入りは、サルネイ元大統領以来の念願であったが空念仏に終わった。ルーラ大統領は少し戦略を変え、根回しを行った。キューバやベネズエラ、コロンビアにも手を伸ばす意欲的な政府に、外交的効果があるかも知れないし、思ったほど関心を寄せないかも知れない。
世界貿易機関(WTO)のカンクン閣僚会議では、G23途上国連合を組織して難攻不落の先進国連合にかみついたのは、アモリン外相の手腕として特筆に価する。これまでは先進国が勝手に決めて、ブラジルなど途上国へは事後報告するに過ぎなかった。
往年無名のルーラ大統領をなめ、大統領をして〃部下の部下〃と言わしめたゼーリック米通商代表(USTR)を、どう料理するかが今後の課題だ。G23も、同盟国の離脱でG20に縮小。また一枚岩と思われたメルコスルも,ウルグアイとパラグアイの変心で足元が揺らいでいる。
飢餓問題は一九八五年にサルネイ元大統領が国連で提唱したが、無視された。ルーラ大統領の提唱にはアナン事務総長が乗って来た。国際飢餓キャンペーンへの第一号義援金として、大統領はスペインで報奨金としてもらった五万五千ドルを寄付した。金額は少ないが、パーフォマンスは上々だ。