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県連日本祭り=来年の主導権巡り紛糾=〃大成功〃の影に慎重論=本番10日前は黒字なし

10月8日(水)

 綱渡りの黒字収支に執行部ゴタゴタ――。今年七月にブラジル日本都道府県人会連合会が主催したフェスチバル・ド・ジャポン(日本祭り)は、十一万レアル近い黒字を計上。昨年の借金返済を目指した実行委員会も所期の目的を達成した。三日開かれた代表者会議では、「今年と同じ体制で始動を」と望む声が相次いだ一方、執行部からは「実行委員長の人選も含め、慎重に」との意外な提案が出され会合は紛糾。一枚岩であるはずの、執行部内でも意見が分かれる異常な事態を招いた。大成功に終わったはずの日本祭り。紛糾した舞台裏には、開幕十日前まで収支ゼロの見通しだった、という実情があった。

 吉加江実行委員長「今年は大成功。大至急、来年の七回目に向けて始める必要がある」
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 会合の冒頭、吉加江実行委員長は第六回目の日本祭りについて総括する報告書を配布。昨年を大幅に上回る四十万人(主催者発表)の来場者を集めただけでなく、昨年の十二万レアルの赤字をほぼ補填する約十一万レアルの利益を残した、と説明。吉加江委員長は「今年の成功で、昨年の失敗に基づく悲観論を払拭した」と胸を張った。
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 高柳群馬県人会長「引き続き吉加江さんに委員長をしてもらい。スポンサーを逃がさないように」
 渡部福岡県人会長「四十万人が来場したこの功績は大きい」
 酒井大分県人会長「早々に、来年の実行委員長を決めるべき」
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 大赤字に終わった昨年の代表者会議では「もうやめてはどうか」「開催は慎重に」との意見も出されたが、今年は対称的だった。
 十四万レアルに留まった昨年を大幅に上回る約二十五万レアルのスポンサー料を集め、約十一万レアルの黒字が残った事実は、多くの県人会長の好感を集めた。今後も継続して成功すれば、資金難に苦しむ県連の運営に役立つはず、と会長らは発言。早くも来年に向けて「二匹目のドジョウ」を狙う姿勢を見せた。
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 津高書記「ちょっと待って欲しい。委員長一人が成功させたのではない」
 中沢県連会長「確かに借金は返せたが、最後の最後で十万レアルが入る綱渡り状態だった」
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 来年も成功するために今年と同じ実行委員会の体制で、早急に始動すべき、という雰囲気が漂い始めた中、慎重論も出された。
 中沢会長は、一見成功に見えるスポンサー探しも実は直前まで難航。実は開幕十日前時点では収支ゼロだったが、その後に辛うじて十万レアルをかき集めた実情を明らかにした。
 また、津高書記は、「執行部全体が駆けずり回って成功させた」と吉加江委員長だけを称賛する雰囲気に、露骨な不快感を示した。
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 西県連副会長「一刻も早く、この場で実行委員長を決めるべき」
 田畑県連副会長「喜ぶだけではダメ。今年はソルチ(運)があって成功した」
 中沢県連会長「執行部内で意見統一すべきだ」
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 七回目を迎える来年について、出席者全員が「賛成」で意見一致したが、その体制については執行部内でも意見が分かれた。
 引き続いて吉加江委員長を望む西副会長が、この日の代表者会議で委員長を決定し、早急に立ち上げたいという意向を示したのに対し、反対案が相次いだ。
 ギリギリまで金策に目処が付かなかった今年の実行委員会に不安を抱く役員らは、一様に慎重さが必要と強調。特に田畑副会長は、開幕十日前まで収支ゼロだった点を強く指摘。「今年は運で成功しただけ、よほど慎重に案を練らないと」と楽観論に警笛を鳴らした。
 結局、執行部内で意見がまとまらず司会が仲裁する異例の措置で事態は収拾。まず執行部内で意見を統一した後、代表者会議で承認することに決められた。